Socialtextの最高経営責任者(CEO)兼共同設立者であるRoss Mayfield氏は、個人ユーザーの間でオンライン百科事典のWikipediaが普及しているのと同様に、法人ユーザーの間でもwikiを普及させたいと考えている。
wikiと呼ばれるインターネットコラボレーションツールを開発しているSocialtextは、開発者らがビジネス環境で同ソフトをテストできるように、同ソフトのコードをオープンソースとして公開した。Socialtext Openと呼ばれるこの製品は、同社の主力製品であるwikiツールのオープンソース版としてダウンロード提供されている。
開発者らは、同アプリケーションをダウンロードし、誰でも執筆や編集が可能なウェブページを構築できる。現在、オープンソースソフトウェア開発サイトのSourceForge上で同アプリのベータ版が提供されている。開発者らは、同ツールを試した結果、利用可能と判断した場合に、同ツールのライセンスを取得できる仕組みだ。
Mayfield氏は米国時間7月24日、IBMのAlmaden Research Centerで開催されたNew Paradigms for Using Computers(NPUC)2006ワークショップで、「これは、企業にとっては大変お得なオープンソースライセンスだ」と語った。
一方で同氏は、「これはリスクを伴うビジネスだ」とし、「これは、wikiを電子メールと同じくらい普及させるための大きな賭けだ」と付け加えた。
Mayfield氏がそのような大きな賭けに出た背景には、SocialtextのライバルであるJotSpotが、同社のwikiソフトを改良し、簡単さと使いやすさの向上を図ると発表したという事情がある。JotSpotによると、同社は、wikiをより容易に構築できるようにすることを目的としたソフトウェアのバージョン2.0を発表している。
また今回のSocialtextの動きには、先に発表されたGoogleの表計算分野への進出も影響している。Socialtextは現在、wikiに表計算機能を組み合わせた、ブラウザベースのオープンソースコラボレーションツール「WikiCalc」のテストを行っている。
JotSpotとSocialtextはともに、企業顧客からのライセンス料や会費を収入源としているため、wikiツールの改良は、より多くの顧客を獲得するための当然のエサといえる。しかし、Mayfield氏も述べている通り、wikiはまるで「庭」のように、有機的に発展する生命体だ。
Mayfield氏によると、ビジネス環境では、wikiを中心に構築されたプロセスが成功する場合もあれば失敗する場合もあるという。そのためSocialtextは、開発者が同ソフトを試験的に使用し、イントラネットカレンダーといった特定のアプリケーションとの連携が可能か否かを見極められるようにすることで、長期的により多くの顧客を取り込みたいと考えている。
「これはツールやソフトウェアの問題ではなく、人々がこれらのツールを利用して発展させるプロセスの問題だ」(Mayfield)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」