これまでの「メールの読み書きやウェブアクセス、Office文書の閲覧ができる高機能な携帯電話」という枠を越えて、よりパソコンに近い高度な機能を持った「スマートフォン」が注目されている。フルブラウザを搭載してパソコン向けサイトをそのまま閲覧できるほか、PCメールの読み書きができ、PCのスケジュール表や住所録とデータを連動させたり、Office文書を作成できたりするものだ。つまり、パソコンと同じ作業を可能にする携帯電話である。
こうしたスマートフォンを実現するためのOSとして注目されているのが、Windows Mobileだ。Windows XPと統一感のある操作性を持ち、Word MobileやExcel Mobileなどのアプリケーションが揃っている。ウィルコムのW-ZERO3に搭載されたの続き、NTTドコモからもこのOSを採用したhTc Zがリリースされる。
4年前、Windows Mobileが登場したときに採用していた携帯電話は1機種のみ。それが現在では世界中で100機種を越えている。
7月19日に開幕した携帯電話関連の展示会「WIRELESS JAPAN 2006」における開発者向けカンファレンスにおいて、マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部シニアプロダクトマネージャの石川大路氏が、Windows Mobileの機能や優位性について講演した。
まず、マイクロソフトの製品群の中でのWindows Mobileの位置づけであるが、Windows CEをベースに、携帯端末に向けて開発したOS&アプリケーションパッケージということである。Windows CEはもともとPocket PCなど、主にPDA向けに開発されたOSであるが、現在ではPDAに限らず、さまざまな機器への組み込み用OSとして利用されている。
マイクロソフトのOSならではの機能としては、同社サーバ製品との高度な接続性を持つことがあげられる。Exchange Serverとの連携や、POP/IMAPメールサーバとの接続が可能であり、VPNクライアントも搭載している。外出先から社内サーバやパソコンに安全にアクセスし、データを操作できる。
また、開発環境としてはVisual Studioを利用できる。Visual Basicでアプリケーションを開発できるので、開発者は専用の言語を習得する必要がなく、開発への敷居は低い。石川氏は全世界で60万人以上が対応アプリケーションの開発に従事していると述べた。
スマートフォンとしての要であるOffice Mobile製品であるが、こちらの機能拡張も進んでいる。Word Mobileでは表の表示や箇条書きができるようになり、より高度な形式の保持ができるようになった。以前のバージョンではWord文書をWord Mobileで編集し、保存したときに装飾などが消えてしまうものがあったが、現在は互換性が向上している。
Excel Mobileについても、グラフの表示、作成、編集に対応した。Power Point Mobileは、Power Pointプレゼンテーションの作成機能がなく閲覧のみだが、基本的なビューアとしての機能は実現している。IE Mobileについては、実際には横に広がっているサイトの内容を縦に並べることにより、横スクロールをせずに縦スクロールだけで一覧できるようにするなど、携帯電話の画面や操作性に合わせてサイトを見やすくしている。
携帯電話の機能が向上すると、さまざまなデータを携帯電話に入れて持ち歩くことになるが、そうすると怖いのが紛失や盗難によるデータ流出事故だ。Windows Mobileではパスワードの再入力に累乗的な時間がかかるようになっている。つまり、間違えれば間違えるほど、再入力できるまでの時間が延びていく。これで総当りによるパスワード破りを困難にし、セキュリティを高めている。
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