(2)のシームレスな改革では、AquaLogicやWebLogic、さらに分散トランザクション処理ソフトの「BEA Tuxedo」を加えることで、継ぎ目のないシステム統合ができるというものだ。
(3)のブレンドソリューションとは、オープンソースのソフトウェアとBEAの製品群、それぞれの長所を組み合わせて企業に使ってもらおうとすることだ。ここでいうオープンソースのソフトウェアとは具体的には、JavaサーブレットやJSFの処理が可能なアプリケーションサーバである「Tomcat」、Javaによるウェブアプリケーション開発のフレームワークである「Struts」、統合開発環境である「Eclipse」などだ。
例えば、Strutsで開発したウェブアプリをBEAのJavaアプリサーバである「BEA WebLogic Server」で稼働させるというのが、BEAのいうブレンドソリューションである。このために同社では、オープンソースソフトウェアのJavaアプリケーションフレームワークに対する動作検証、効率的な開発ツールや管理ツールの提供、実行プラットフォームの提供――などをしていく方針だ。
このブレンドソリューションについて、Veis氏は「ほとんどのオープンソース技術は企業向けとしては、性能や管理のしやすさ、スケーラビリティに欠けるというデメリットを持っている。だが、BEAがサポートすることで、企業は基幹業務レベルでも安心して利用することができる。こうしたことで、企業はオープンソースを利用することによる改革のリスクと開発にかかる目に見えないコストを削減することができる」と、そのメリットを強調している。
BEAの開発環境「BEA Workshop」を担当する副社長のBill Roth氏は、ブレンドソリューションについて「開発者たちの動きにあわせた」と話す。
「企業の開発者たちが、オープンソースのフレームワークを使いながら、WebLogic Serverを使っていることに驚いた。というのは、われわれとしてはBEAが提供するフレームワークがふさわしいと思っていたからだ。しかし、われわれは目の前の事実を受け入れ、オープンソースとBEA製品とのブレンドを掲げることにした」(Roth氏)
ブレンドソリューションに関してBEAでは、自社の開発・実行フレームワークをApache Beehive Projectに寄与し、開発ツールのEclipse対応を進めてきている。また、2005年9月にはEclipseベースの統合開発環境「NitroX」を提供するm7を、2005年11月には「オブジェクト永続化エンジン(Persist Engine)」の「Kodo」という製品で知られるSolarMetricを買収している。
そして(4)のSOAに対する最適なアプローチについて、前出のVeis氏は「SOAは段階的にプロジェクトを進めることで、収穫を得られる」と話す。
「SOAは単一の大規模なプロジェクトではない。SOAによる情報システムの導入プロジェクトを複数、そして段階的に進めることで、企業の情報システムに対する投資収益率(ROI:Return On Investment)を向上させることができる」(Veis氏)
BEAが考えるSOAに対する最適なアプローチは、情報システムのどこからをSOA化していくのかスタート地点をまず選択し、次に2〜3年の計画を立て、プロジェクトごとにSOAを実行、そして「ビジネスの戦略とプロセス」「プロジェクトとアプリケーション」などの6つの次元でSOAに取り組む――としている。
上級副社長のSteve Au Yeung氏は、アジア太平洋地域を統括しており、日本を含む同地域でのSOAへの動きをこう話す。
「オーストラリアや香港、シンガポールでSOAに対する理解はされている。実際にオーストラリアでは、SOAプロジェクトが多く進行している。だが、アジア太平洋地域でSOAに対する理解が一番進んでいるのは日本だと思える」
Au Yeung氏によれば、日本は中国やインドのような新興国に比べて成長率は高くないという。しかし「日本はSOAを導入できる国」(Au Yeung氏)であることから、日本でのビジネスは間違いなく成長できると見ている。また、同氏はアジア太平洋地域の中から2006年の後半には「SOAの成功事例が出てくるだろう」とも語っている。
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