BEA、成長の痛みをどう乗り越えるか

Martin LaMonica(CNET News.com)2004年06月03日 10時00分

 BEA Systemsは、わずか10年足らずの間に、年間10億ドルを売り上げる企業に成長した。

 Java開発ソフトを販売する同社は、1990年代後半のインターネットブームの間に、ウェブアプリケーションを動作させるためのバックエンドのアプリケーションサーバを提供して、爆発的な成長を遂げた。同社最高経営責任者(CEO)のAlfred Chuangは、今後もこのペースで成長を続けていきたいと考えている。同氏の目標は今後5年間で年間売上を30億ドルまで持っていくことだ。

 しかし、時代の様相は一変し、ネットブームの頃のイケイケムードはもはや過去のものとなってしまった。そしてBEAは現在IBMやOracle、Microsoftといった大企業との激しさを増す競争に直面している。さらにオープンソースのアプリケーションサーバもますます人気を集めている。企業顧客はITベンダーの選別を進め、取引相手の数を絞り込んでいる。大規模な競合相手と違い、幅広い品揃えも多くの人脈も持たないBEAにとっては、こうした流れが成長を妨げる要因となり得る。

 BEAのこれまでの戦略は、サーバ製品スイートを核として、関連製品の品揃えを拡充し、あわせて同社のJava開発ツール「WebLogic Workshop」のような先進的なソフトウェアを普及させるというものだった。だが、先ごろ打ち出された最新のビジョン「Liquid Computing」では、BEAの売上見通しは主に、現代的なモジュール化を進めたSOA(サービス指向アーキテクチャ)と呼ばれる設計アプローチがどれほど採用されるかにかかっている。サンフランシスコで開催されたeWorldカスタマーカンファレンスで、CEOのChuangに話を聞いた。

--BEAは技術革新を進めるのにちょうどいいサイズだとおっしゃっていますね。しかし、売上が10億ドル程度の中規模企業には、IBMやMicrosoftほど多くの開発リソースもマーケティング用リソースもない、という見方もできます。

 まあ、「われわれは大きくなりすぎた」という意見は、いつの時点でもあったことです。BEAでは現在700人を越えるエンジニアが働いていますが、1995年に社員数10人で会社を立ち上げた時のほうが、ずっと面白かった。しかし、ずっと10人のままでいることはできません。会社を成長させることが、どうしても必要だからです。

 技術革新には2つの部分があります。ひとつは技術自体を生み出すことで、もうひとつは生み出したものを市場に出すことです。わが社はいまだに何か新しい、たとえば「Alchemy」のようなものを開発し、それを市場に出せる規模だと、われわれ自身はそう考えています。大企業にはこうした真似はできません。彼らの販売プロセスは複雑すぎますし、過去の遺産を更新するのはあまりに困難です。私の考えでは、われわれはまだとても素速く技術革新を行い、それを市場に出せる規模にあると思います。

--BEAは常に最先端の技術開発に投資してきました。しかし、競合相手の一部には、Sun Microsystemsを含め、既存のJava標準を実装しているところもあります。彼らはそうした標準以外の機能を追加し、それを有料で販売しようとはしていません。市場は常に最先端の技術を求めているものでしょうか。

 まず、われわれがずっと大きくなるまでは、そうしたやり方しか戦いようがありません。そうでなければ、どうしてBEAの製品を顧客に選んでもらえるでしょうか。われわれの製品が、技術革新や信頼性の点でも、あるいは有用性や使いやすさといった点でも一番優れていなければ、誰も買ってはくれません。つまり、こうした点こそ原動力であるわけです。

 現在もたくさんの新しい技術が売られています。たとえば、自動車用のナビゲーション機器は、昨年1年間で、全体の1パーセントから15パーセントへと成長しました。こうしたことが起こる理由は何でしょうか。結局のところ、技術が実際にわれわれの生活を変えるからでしょう。

 われわれのやり方に懐疑的な人間は、「これ以上新しい技術を実装する必要はないし、またわれわれもこんなに大きな会社になったのだから、顧客もわれわれから買うだろう」と言っているのも同然ですが、無論そんなことが通用するわけはありません。万が一それが本当だとしたら、(メインフレームメーカーの)UnivacやSperryはいまでもビジネスを続けていたでしょう。両社とも十分な規模があり、しかもそれ以上革新の必要はないと皆に言われていましたからね。われわれのような会社にとっては、今後もかなり長い間、技術革新が非常に重要な要因であり続けると、私はそう信じています。

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