オンデマンド顧客関係管理(CRM)ツールを提供しているSalesforce.comは、顧客企業がビジネスパートナーとの協力関係をより強固にするためのサービスを開始する。
新しいパートナー関係管理(PRM)サービス「Partnerforce」の提供開始は米国時間7月12日の予定で、インターフェースは同社のCRMツールと同様のものを採用している。このサービスを利用すると企業の従業員は、社内だけでなく社外の販売担当者ともデータを共有できる。調査会社Gartnerによると、同社のCRMサービス全体の売り上げは昨年、77%という大幅な成長を見せたという。
ForresterのアナリストLiz Herbert氏はPartnerforceについて、Salesforceの提供するサービスが優れていて、オンデマンドソフトウェアに対する先入観を変えつつあることを示す新たな徴候だと述べた。
「オンデマンドソフトウェアは『素人向け』で、カスタマイズできないものだと思われている。Salesforceはこれまでの実績を通じて、そういった見方を変え、(オンデマンドソフトウェアでも)提供されたものをそのまま使うだけでなく、カスタマイズ可能だというメッセージを伝えている」(Herbert氏)
Partnerforceでは、加入企業またはそのビジネスパートナーのURLをサービスのポータルサイトにできる。ポータルサイトの外見や操作法をパートナーのウェブサイトのインターフェースに合わせてカスタマイズすることも可能で、Salesforceは、この点が同サービスの採用を促す上で役に立つと考えている。パートナーの販売活動を一覧表示し、さまざまな視点から眺めることもできる。また、社内のデータに対する外部からのアクセスを制限するセキュリティ管理機能も備えている。
Partnerforceには、現在のデータをもとに分析や予測を行う機能もある。ただし、そのような機能を持ったPRM製品は、しばらく前にSAPやOracleが提供を開始していることから、先行企業の方が有利かもしれないとHerbert氏は述べた。
「システムの最初のバージョンなので、すべての機能を盛り込もうとはしていない、というだけのことだ。何年も前から市場に出回っている製品とは事情が違う」(Herbert氏)
Partnerforceのポータルは同サービスの目玉だ。BlueRoadsは、Salesforceのパートナーであると同時にオンデマンドPRMツールにおけるライバルでもあるが、Herbert氏によると、そうした競合企業はこのような機能を提供していないという。しかし、すでにSalesforceのCRMサービスを利用している企業がビジネスパートナーのデータを見ようとするとき、パートナーごとにPRMプログラムの別々のポータルにアクセスする必要が生じる。つまり、Salesforceに加入している小売業者が、同じくSalesforceを利用している企業3社の製品を販売しているとすると、データにアクセスするには全部で4つの異なるポータルサイトを訪問しなければならないということだ。
Salesforce.comのマーケティング担当バイスプレジデントKendall Collins氏は、この点について次のように述べている。「AppExchangeからAPIを入手し、それを利用して複数のポータルサイトから自分のポータルサイトや各種CRMツールに情報を取り込むこともできる。わが社のAPIは標準仕様に基づいているので、Webサービスにアクセスできるシステムなら、相手先ポータルサイトからCRMにデータを取り込むことが可能だ」
ユーザー数で利用料金が決まっているSalesforce.comのCRMサービスとは異なり、Partnerforceの利用料金はパートナー1社あたり年額1500ドルとなっており、この料金で5人までのユーザーが利用できる。Salesforce.comの広報担当者によると、このPRM利用ライセンスはパートナー間での共有が可能だという。例えば、10社のビジネスパートナーを抱える企業が10ライセンスを取得したとするとユーザー数は50人となるが、ライセンスを取得した企業はその50人をパートナー間で自由に割り振ることができる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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