川崎重工は6月21日、ロボットの遠隔操作技術や電子制御技術を採り入れて開発した地雷除去システム「BULLDOG(ブルドッグ)システム」の実証試験を、7月からカンボジアで実施すると発表した。
今回の実証試験は、同社が2004年から2005年にかけてアフガニスタンで実施した地雷除去実証試験を経て改良したBULLDOGシステムをカンボジアの実地雷原に持ち込み、実際に地雷除去等を行うことにより、現地の植生や土壌、地形などに適合したシステムを開発することを目的とするもので、アフガニスタンと同様、日本政府による無償資金協力事業の一環として実施される。
BULLDOGシステムは、地雷探知センサーや各種カメラを搭載した地雷探知車「MINEDOG(マインドッグ)」と、地雷を掘出し爆破する掘削ドラムや爆片などの廃棄物回収機構を搭載した対人地雷除去車「MINEBULL(マインブル)」、およびそれらの遠隔操縦、操作装置で構成される。
地雷探知車MINEDOGは、車体前方に搭載した地表面の凸凹に対応して自動的に上下動する8チャンネルの地雷探知センサーで地中に埋設されている対人地雷および不発弾を探知するとともに、車体上部に搭載した可視カメラで地表面の散布地雷やわな線を探知する。また、探知センサーからの情報を独自開発した識別ソフトで解析することにより、対人地雷や不発弾と地中の空洞、岩石などを正確に区別することが可能。さらに、今回のカンボジアでの実証試験用として、草木対応可能な機能や軟弱地盤での走行機能などを付加している。
対人地雷除去車MINEBULLは、車体前方に搭載した高速掘削ドラムにより地面を掘削しながら対人地雷を爆破する。安定した掘削や走行を確保するために、掘削深度モニター装置や遠隔制御装置、GPSアンテナ、経路監視カメラなどを装備している。また、永久磁石プーリィ、鉄片回収バケットなどにより、対人地雷爆破後の確認探査作業の妨げとなる地中の鉄片を回収する機構を備えている。カンボジアの粘着土壌に対応するため、付着土除去ブラシや、MINEDOGと同様の走行機能などを付加している。
6月に対人地雷除去車MINEBULLをカンボジアに向けて出荷し、7月から同国シェムリアップの地雷原で地雷除去試験を開始する。また、8月には対人地雷探知車MINEDOGを出荷し、10月から性能試験を実施するとしている。
同社は、今回の実証試験で得られる試験データ等により、さらに開発を推進し、カンボジアに適合したBULLDOGシステムの早期の実用化を目指すとともに、本システムの開発を通じて、政府の国際貢献活動の一環である人道的地雷除去支援活動および地雷除去を推進している国際NGO活動に貢献していくとしている。
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