DVD宅配サービスのネットフリックス、デジタルダウンロードサービスに意欲

文:Candace Lombardi(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、長谷睦2006年06月21日 22時23分

 人気のDVD宅配レンタルサービス企業、Netflixは、テレビへのデジタルダウンロードサービスが実現した際には、この市場に一番乗りを果たしたいと考えている。

 実際、Netflixの投資家向け広報サイトでは、既に同サービスを将来に向けた成長戦略の1つとして挙げている。

 同社の会社概要には「市場における第一人者の地位を生かし、高品位映像のDVD、さらにはデジタルダウンロードへの移行を先導します」とある(PDFファイルを参照のこと)。

 Netflixの広報担当者は、今後すぐにサービスを開始する計画はないと説明しているが、同社のある経営幹部は、同社がダウンロードサービスを検討中だと認めている。

 その幹部とはNetflixのオリジナル番組担当バイスプレジデントEric Besner氏で、米独立系映画テレビ連合(Independent Film and Television Alliance)のプロダクションカンファレンスにおいて、デジタルダウンロードサービス向けに独自仕様のセットトップボックスを採用する可能性に言及したと報じられている。Besner氏の発言を最初に報じた業界誌「Variety」のウェブサイトによると、同氏はこのセットトップボックスについて、従来のようにDVDを郵送する代わりに、夜のうちに映画をテレビにダウンロードする仕組みだと説明したという。

 しかしNetflixの広報担当者は、デジタルダウンロードへの移行を示唆するいかなるコメントも、決定事項を示すものではないと述べている。

 CNET News.comの取材に対し、Netflixのコーポレートコミュニケーションズ担当ディレクター、Steve Swasey氏は「当社はダウンロード構想について、いかなる計画も発表していない。Netflix社員のこの件に関するすべての発言は、決定事項ではない。われわれはダウンロード構想に昨年度と同程度の500万ドルから1000万ドルの資金を投じており、さらに来年度もそれを継続する」と説明している。

 そのうえで、Swasey氏はこのようなサービスの実現を阻む要因の中から、具体的な問題点を2つ挙げた。

 1つ目はどれほどのコンテンツが提供できるか、という点だ。一部には現時点でも提供可能なコンテンツがあるものの、大多数の映画は映画業界などのコンテンツ所有者によって「ロックされて」しまっているという。この問題については、おそらく今後数年間は今のような状態が続くとSwasey氏はみている。

 2つ目の課題は、コンテンツをインターネットではなく、テレビで視聴可能にすることだ。Swasey氏によると、多くの人々は、コンピュータではなくテレビで映画を鑑賞したいと思っているという。

 それでは、実際にデジタルダウンロードサービスが提供可能になった時、真っ先にサービスを開始するのはNetflixだろうか?

 たとえば、MovieBeamは、Cisco SystemsおよびIntelなどからの出資を受けて従来のサービスを刷新し、地上波テレビの電波を使って家庭に設置されたハードディスクに映画を送信するオンデマンド動画配信サービスを2006年2月に再開している。MovieBeamはもともとWalt Disney傘下にあり、同社は今でもDVD発売と同時に自社製作の映画をMovieBeamに提供している。また、ケーブルテレビ会社などのオンデマンド映画サービスも、Netflixのライバルと言える。こうした企業では、Netflixのように定額会費制のビジネスモデルのみを採用しているわけではないが、ダウンロード型のレンタルサービスも選べる形を取っている。

 Netflixの会計報告によると、同社の売上高は1999年の約500万ドルから、2005年には約6億8300万ドルにまで伸びている。今のところこうした資金は、1日あたり100万枚以上のDVDを発送する現行のDVD宅配サービスに投入されているほか、一部は米郵政公社の前総裁を同社の最高業務責任者(COO)として招き入れるためにも費やされている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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