ワシントン発--米国時間6月15日、米国の政治家らは、一般的に「パテントトロール」と呼ばれる会社の撃退を支援して欲しいというIT企業各社の訴えには同情的な様子であった。パテントトロールとは、裕福な企業から高額な和解金を獲得するだけの目的で、特許を保有していると思われる会社のことである。
「特許システムは法律のゲームではなく、創造性を報いるべきものである」とLamar Smith下院議員(テキサス州選出、共和党)は、「パテントトロール:事実かフィクションか?(Patent Trolls: Fact or Fiction?)」と題する公聴会においてこのように述べた。Smith議員は下院知的所有権委員会の議長を務めている。
Howard Berman下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、「開発には1セントも払わずに・・・(そして)手当たりしだい特許権を取得する」特許保有者について懸念していると述べた。「彼らのすることといえば、自分の保有する特許権を誰かが侵害する可能性があると主張し、その問題を解決するために誰かがお金を払ってくれるように(望み)、ただ座って待つだけである」(Berman氏)
各政治家ともすでに、壊れていると非難されることもある特許システムの向上を目指し、独自の提案を打ち出している。しかしこれらの提案は、競合する各利害関係者間で納得が得られる内容に仕上げようと働きかけているために、まだ作業中の段階にある。Berman議員、Smith議員の両氏とも、新たな法律が2006年中に制定されることを望むと15日に述べている。しかし会期が短縮される選挙年において、これは厳しいかもしれない。
同委員会のメンバーは、2006年春の米最高裁判所によるeBay対MercExchangeの争いに関する判決が、彼らが法制化を目指している難問のひとつに決着を付けたということでは、意見が一致しているようだ。すなわち特許訴訟においてはどのような場合に差し止め命令が適切かという問題である。この最高裁の判決は、有罪判決を受けた特許侵害者に対する発明品の利用差し止めを要求する資格を、特許保有者が「自動的」得るわけではないという点を確立させた。さらに各裁判所に対し、何世紀も前からの特許法に含まれるいくつかの要素を考慮するように指示した。例えば、もし差し止め命令が出されなかった場合に、特許保有者が修復不可能な被害を受けるかどうか、また金銭的補償などの他の救済策で十分ではないかといった点である。
政治家らはまた、Anthony Kennedy判事の同意意見のなかで表わされた懸念にも明らかに注目しているようだ。同判事は、「産業界は、企業が特許を商品の製造及び販売の基礎とするのではなく、むしろ、主にライセンス料を取得する目的で利用するような方向に発展していった」と記述した。そしてこのライセンス料が「法外な値段」の場合があるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」