SymantecがMicrosoftを相手取り、企業秘密に関する訴訟を起こしたことについて、両社の競争が激化していることを示す兆候だと、アナリストらは指摘している。ただし、必ずしも「戦争」が始まったわけではないという。
Symantecは先週、データ保管技術に関係する知的所有権を不正流用したとして、Microsoftを提訴した。カリフォルニア州クパチーノに本拠を置くセキュリティ専門企業Symantecと、ソフトウェア大手のMicrosoftが法廷で対立するのは、これが初めてのことだ。かつて両社は、協力して海賊版ソフトウェア業者を訴えたことがある。
Yankee Group ResearchのアナリストAndrew Jaquith氏は、「両社の関係は、協力から『コーペティション(coopetition:協力[cooperation]と競争[competition]を組み合わせた言葉)』へ、またある分野では直接的な競争へと明らかに変わりつつある」と指摘した。
Symantecは法廷に対して、Microsoftの「Windows Vista」やWindows Server「Longhorn」を含むソフトウェアから、Symantecが所有している知的財産を完全に排除するまで、同製品群の開発、販売もしくは配布を禁止するよう要請してる。Microsoftによれば、Vistaは同社史上最も重要なWindowsソフトウェアであるという。
Gartnerでアナリストを務めるJohn Pescatore氏は、「MicrosoftのVista出荷を少しでも遅らせることができれば、Symantecにとってはプラスになる」と述べている。2007年1月にリリースが予定されているVistaには、スパイウェア対策機能や改良版ファイアウォール、新たなバックアップツールなどが実装されているが、こうした分野の製品は、Symantecが特に一般消費者に対して提供してきたものだ。
Microsoftが3年前にセキュリティ市場参入を発表して以来、両社間の溝は深くなっている。しかし、Symantecの最高経営責任者(CEO)であるJohn Thompson氏はこれまで、訴訟を起こしたり、反トラスト監督機関に苦情を申し立てることはしないと繰り返し述べてきた。セキュリティ分野で蓄積してきた知恵と実績をもって、Microsoftとの競争を戦っていくつもりだとしていたのである。
リサーチ企業Directions on MicrosoftのアナリストMichael Cherry氏は、同社のそうした方針は今も変わっていないと話し、今回の訴訟は、SymantecがVeritas Softwareを買収した際に引き継いだMicrosoftとの契約をめぐる紛争であると説明した。
「Symantecは株主に対して、同社の知的所有権を積極的に保護する義務を負っている。このたびの訴訟には、それ以上の深い意味はないように思える」(Cherry氏)
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