携帯電話業界ではNTTドコモとKDDIがシェアを争っているが、2社の戦略は異なる。同じように、2社それぞれのキャリアレップも、力を入れる点が異なっているようだ。前回はNTTドコモ系列のディーツーコミュニケーションズ(D2C)を取り上げ、メール型広告を企業のマーケティング活動に生かす取り組みに注力していることを紹介した。
これに対し、KDDI系列のmedibaは、auの持つ強みを生かして、モバイルサイトのメディア価値を強化することに力を入れている。
medibaは2000年12月、KDDIが博報堂、アサツーディ・ケイ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、デルフィスと共同で設立したメディアレップだ。auのEZweb向けの広告を取り扱うほか、現在ではEZwebのポータルサイトの編成なども手がけている。
設立当初はエイワンアドネットという社名だったが、ポータル事業に進出したことをきっかけに、社名をmedibaに変更した。medibaマーケティング部長の奥野健氏によれば、「EZwebを通じてユーザーに情報をきちんと届け、モバイルのメディア価値を高めるためには、単なるディレクトリサイトではないポータルサイトが必要と考えた」ためだという。
medibaがサイト編成を手がけているのは、auのCDMA 1X WIN端末向けのポータルサイトだ。単なる公式サイトのリンク集ではなく、ニュースや特集、アンケートなどさまざまなコンテンツを提供している。「ユーザーが暇つぶしにサイトを訪れても、何か目的を見つけてもらえるような情報を提供している」(奥野氏)
情報量を増やすことで、ポータルサイトのページビューを増やしてメディア価値を高めるというmedibaの戦略は当たった。サービス開始から1年で、ポータルサイトのページビューは4倍に伸びたという。2006年2月には、月間インプレッション数(広告表示回数)は2億インプレッション(medibaが配信する広告掲載ページのみ)を超えている。
auの場合、第3世代携帯電話(3G)やパケット定額制の導入が他社よりも早かったこともあり、3G端末や定額制の利用率が高い。このことも、medibaには追い風だ。通信速度が上がればユーザーはストレスなくモバイルサイトを閲覧できるようになる。また、いくらサービスを利用しても月々支払う金額の上限が決まっていれば、料金を気にすることなくモバイルインターネットを楽しむようになるからだ。
medibaが行ったアンケート調査によれば、auユーザーの3G端末所有率は100%で、そのうち51.3%がCDMA 1X WINを利用している。さらに、WINユーザーの86.7%は定額制に加入しているとのことだ。
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