東芝は5月11日、経営方針説明会において同社の中期経営計画を発表した。
説明会の冒頭で、東芝 取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏は「2006年3月期は、昨年8月に発表した公表値に近い業績を達成することができた」と、実績の順調な推移をアピールした。2006年3月期の実績は、売上高が6兆3435億円、営業利益率3.8%、D/Eレシオは92%、ROEは8.6%。西田氏によると、さまざまなイノベーションによる成果が少しずつ出てきた結果だという。
今後の計画として、売上高は2007年3月期が6兆6000億円、2009年3月期は7兆8000億円を目標とする。営業利益率については2007年3月期が4.0%、2009年3月期には5.0%まで向上させるという。さらに、すべての事業領域で高成長、高収益を実現して、2011年3月期には売上高9兆円、営業利益5400億円(営業利益率6%)を目指す予定だ。また、2006年3月期をベースとした年間平均成長率は7%。2006年3月期に47%だった海外売上高比率については、2009年3月期で57%という目標を掲げている。
セグメント別で見ると、2006年3月期の売上高が1兆3881億円だった電子デバイス事業は、NANDフラッシュを中心に収益を拡大して2009年3月期に売上高2兆2900億円(前年同期は1兆3881億円)、営業利益率10%(同8.9%)を目指す。デジタルプロダクツ事業はHDDでの収益確保と映像の収益改善により、売上高3兆1000億円(前年同期は2兆5365億円)、営業利益率は2%(同0.8%)。社会インフラ事業については原子力と医用機器で安定した収益を上げ、売上高2兆1600億円(前年同期は1兆8823億円)、営業利益率は4%(同4.1%)となっている。このほか、家電事業として売上高7500億円(前年同期は6875億円)、営業利益率1%(同0.4%)を見込む。
2006年3月期実績 | 2009年3月期計画 | |
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電子デバイス事業 | 1兆3881億円(10%) | 2兆2900億円(10%) |
デジタルプロダクツ事業 | 2兆5365億円(0.8%) | 3兆1000億円(2%) |
社会インフラ事業 | 1兆8823億円(4.1%) | 2兆1600億円(4%) |
家電事業 | 6875億円(0.4%) | 7500億円(1%) |
設備投資に関しては、2007年3月期第2四半期の完了を予定している米Westinghouseの株式取得を含め、2009年3月期まで3年間で2兆400億円になるという。これは、2006年3月期まで3年間の投資実績である1兆1323億円と比べ、9077億円もの増額となる。
東芝は総額の約半分を半導体事業に投入する予定だ。NAND市場は2008年に2兆6000億円を超えると予想し、生産能力を2006年から2008年にかけて約2倍にする予定だ。今回の投資には、四日市に建設されるNANDフラッシュの第4製造棟に加え、新規に第5製造棟を建設する計画も盛り込まれている。なお、第5製造棟の建設場所については「現時点では答えられないが、四日市が飽和状態のため別の場所になる」という。
また、次世代の薄型テレビとして注目を集めるSEDの本格量産を行う姫路工場には、1800億円が投資されるという。まず、2007年7月より平塚工場で55インチからパネル量産の第一段階を開始、2008年3月期の第4四半期にはSED搭載テレビ販売を開始し、2008年初旬より姫路工場でパネルの本格量産が行われる予定だ。2008年の北京五輪に焦点をあわせるなど、市場の本格拡大期に向け一気にアピールを進めると見られる。西田氏はSEDについて「SEDは50年に一度といわれるほど優れた映像技術です。我々はSEDに賭けていますので撤退はありません」と、SEDにかける意気込みを語った。
ストレージ事業については、2009年3月期までの3年間で650億円の増資を計画、生産能力を1.7倍に向上させるという。0.85インチHDDの生産も開始されており、さらなる市場の伸びが期待される2.5インチ以下に特化した戦略となる予定だ。NANDフラッシュとの差異については、ストレージのキャパシティーを上げていくことで用途を拡大、住み分けができるとしている。
キャッシュフローベースでは、2009年3月期までの3年間で1000億円の黒字を見込んでいるという。映像事業については2008年3月期までに黒字化を予定。中でもテレビに関しては、ヨーロッパと中国でプロジェクションテレビの生産を2005年10月以降中止、フラットパネルの薄型テレビにシフトするなど改善が進んでおり、2007年3月期の下期には黒字化を見込む。
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