米上院は米国時間5月1日、通信法の改正に向けた重要な第一歩を踏み出した。通信法の改正をめぐっては、著作権やネットの中立性といった政治的に慎重な対応を求められる問題も浮上しており、実現までに何年もかかりそうだ。
米上院商務委員会の委員長を務めるTed Stevens上院議員(共和党、アラスカ州選出)は、135ページに渡る修正法案(PDFファイル)を発表した。同修正案が可決されれば、ビデオ、衛星、ブロードバンド通信に関する法律の改正としては、過去10年で最大規模となる。
Stevens議員によると、同法案の作成にあたり、公聴会が10回以上開催され、また他の上院議員らの提案も参考にされたという。「(同修正案は)競合産業、消費者団体、地方政府の利害調整を図ることを念頭に作成された」と同議員は語った。
しかし、同法案には「ネットの中立性(ネットワークの中立性)」に関する規則がまったく盛り込まれていない。Amazon.com、Google、Yahoo、Intel、Microsoftといった企業は、ここ2〜3カ月間、法案にネットの中立性に関する規則を盛り込むよう働きかけてきた。先に提出された民主党の法案には、連邦通信委員会(FCC)に違反行為を監視するための広範な権限を与えることが盛り込まれていたが、4月26日に下院エネルギーおよび商業対策委員会(HECC)で否決されている。これに対して、今回の法案では、全ての問題について年次報告書を作成することのみをFCCに義務付けている。
一方、今回の広範な法案には、レコード業界を喜ばすことが確実な規定が盛り込まれている。具体的には、今日販売されているデジタルラジオ放送やデジタル衛星放送の受信機の非合法化にFCCが着手することを認める規定だ。これらの受信機を利用することで(著作権料を支払うことなく)放送を録音できてしまうため問題になっている。今回の修正案が可決されれば、「音声放送フラグ」が付いたものは全て著作権で保護されていると認識する受信機しか販売できなくなる。
全米レコード協会(RIAA)の広報担当を務めるJonathan Lamy氏は、その規定について、「レコード会社、作詞作曲家、出版社、アーティスト、その他多くの音楽業界関係者にとって極めて重要な問題に焦点を当てた必要かつ適切な規定だ」と評価した。RIAAは、「Sirius S50」などの比較的新しい受信機に対しても、著作権料を支払うことなく個人的な音楽ライブラリの作成が可能だとして懸念を表明している。
しかしStevens議員は、著作権で保護されたデジタルビデオに関する規則の改正については、ハイテク企業グループや家電業界の圧力に屈したようだ。同氏の法案では、FCCは、無線放送の著作権を保護することなく、その録音や保存を可能にする米ElGato Systemの「EyeTV 500」などのデジタルTVチューナーの販売の禁止が義務付けられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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