Microsoft会長のBill Gates氏は、新聞各社にデジタル配信の新たな選択肢を提供しようと、コンピュータ画面上で新聞を読みやすいものにするソフトウェアを売り込んだ。
Gates氏は、米国時間28日シアトル(ワシントン州)で行われた新聞関係者のカンファレンス「American Society of Newspaper Editors」で講演し、New York Timesが開発した「Times Reader」と呼ばれるプログラムを披露した。Times Readerは、Windows Vistaの描画能力を生かして、長い歴史を持つ新聞をデジタル時代にさらに延命させることを狙ったもの。Times Readerを使えば、どんな大きさの画面にもデジタルコンテンツを表示させたり、フォントサイズを変更したりすることが可能で、画面の大きさを変えてもレイアウトが崩れない。
New York Times会長のArthur Sulzberger Jr.氏は声明のなかで、「Times Readerは、新聞の持つ読みやすさや携帯性といった特性と、ウェブの持つ対話性や即時性とを融合する次の大きな一歩だ」と述べた。
新聞業界は、発行部数の減少やインターネットへシフトする広告主の増加と戦い続けてきている。多くの雑誌や新聞が、ウェブサイトでのコンテンツ公開に加え、紙面をそのまま電子化したデジタルバージョンも提供している。これらの電子版には、AdobeのPDFやZinio Systemsなどの技術が使われている。
「われわれは、変化し続ける読者のメディアに対する期待に応えるため、独自のブランドジャーナリズムを提供する新しい方法や最新技術を常に探している」(Sulzberger氏)
Times Readerは、Vistaに搭載される「Windows Presentation Foundation」エンジンを利用しており、New York Timeの紙面で使われているのと同じフォントを使って紙面そのままのレイアウトを再現する一方、ソフトウェアによって可能になる柔軟性の一部も実現しようとしている。Times Readerでは、テキストへのハイパーリンクの埋め込みに加え、マルチメディアデータの再生や、記事内容へのコメント追加も可能になっている。コンテンツはPCに保存できるのでオフライン状態でも閲覧が可能。さらにコンピュータがインターネットに接続されていれば常時アップデートされる。
Gates氏はAmerican Society of Newspaper Editorsでの講演に先立って声明を出し、「Times Readerは、ブラウザを越えてデスクトップや携帯端末まで網羅するソフトウェアを使えば顧客との新たな関係を作り出せる、という強力な例だ」と述べた。
Microsoftはプレスリリースのなかで、Times Readerは数カ月以内にダウンロードできるようにする、としている。
Microsoftは以前にもメディアの電子化に関わったことがあった。2002年には、同社は複数の雑誌や新聞と提携し、各社のコンテンツをTablet PC向けに提供しようとしたことがあった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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