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うつ病に効くオンラインゲームの世界 - (page 2)

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 そのうち、だんだんプレイ時間が長い人と仲良くなるようになって、「ギルド」と呼ばれるチームを作って一緒にプレイするようになった。オンラインゲームのプレーヤーは学生が多くて、「仕事で嫌なことがあった」とまでは言わなくても、何か辛いことがあったときに「がんばれ」って励ましてくれた。自分でできないことも手伝ってもらえた。

 私は、プレイスキルが低くて、なかなか他の人の役に立てなかった。だけど、ゲームの中ではみんなが待ってくれた。きっと、それは遊びだから。現実の社会ならみんなせかせかしてしまうし、仕事が遅いと陰口を言われてしまう。今は、もしかしたら自分もこれまで仕事の遅い人を責めてしまっていたんじゃないかと思う。

 ゲームの中では表情が見えない分、自分の行動に対して相手がどう思ってるかわからない。だから、どうしたらいいんだろうって考えた。そうしたら、人から何かをしてもらったときに「ありがとう」っていう言葉が自然に出てきた。人には何かをしてあげれたほうが自分も楽しい、って思えた。

 年齢もぜんぜんちがう人たちと喋れたことも新鮮だった。自分とみんなは違うけれども、みんなもそれぞれ違うんだと分かった。よかった、って思えた。

 ギルドの人たちがブログを書いているのを見て、自分もやりたくなってブログも始めた。最初は文字を書いたり編集したりするのも大変だったけれど、慣れてきて体調も良くなってくると、どんどん書けるようになった。ほかのプレーヤーからコメントをもらえるようにもなって、ブログが一人歩きを始めた。いまではゲーム内で仲良くなった友達とブログや個人サイトでもつながるようになっている。

 文章を書くことで、うつ状態からの快方も見えてきた。コミュニケーションが取れるようになって、病気も落ち着いた。

 そうして少しずつうつを克服した私は、この体験を本にまとめることにした。本を書くことは、ずっと昔からの夢だったから。そして、オンラインゲームは決して悪いものではないということを、知ってもらいたいから。

 私はオンラインゲームを通じて、自分が人とコミュニケーションするのが好きだということに気づいた。文章を書くのが好きということも気づいた。このゲームが生まれた背景の韓国のことも、もっと知りたいと思うようになった。そして、海外のゲームや雑貨を紹介するお店をいつか作れたらいいという夢も持てた。

 確かに、オンラインゲームに熱中してしまって、ほかのすべてを捨ててしまうようなことはあまりいいとは言えないと思う。私はうつ病で数カ月間仕事をやめていたけれど、その後職場に復帰していたので、プレイをしていたのは仕事が終わって家に帰ってからの3時間と、土日だった。オンラインゲームに費やすお金も、月に2000円といったところだ。

 私が書く本を将来手に取ってくれる人や、この記事を読んでいる人に言いたい。「もっと遊びましょう」と。自分が何を好きなのかが分からなかったら、人生なんてつまらない。お金をためたり、目標を達成するために働いても、過労死してしまったら意味がない。そんなにもったいないことはない。自分の好きなことなら、がんばれる。うつ病になる人は、何か無理をしているんだと思う。だから、もっと遊べばいい。(談)

筆者略歴
上海さくら
オンラインゲームプレイヤー。オンラインゲームを通じてうつ病と闘った軌跡を書籍化するべく、現在執筆活動中

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