ボストン発--仮想化は、最近やっとコンピュータの主流に顔を出し始めたばかりだが、4、5年前にDellが現在のサーバ哲学へと進む方向性を決めたのは、この仮想化技術のおかげだった。
Dellの最高技術責任者(CTO)であるKevin Kettler氏はボストンで開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」で基調講演を行い、 仮想化は画期的な変革だと絶賛した。この仮想化技術によって、Dellは、「スケールアウト」アプローチを推進し、プロセッサソケットを5基以上搭載するサーバの販売を打ち切ったのだと、Kettler氏は述べた。この方針は、Hewlett-Packard(HP)やSun Microsystems、IBMなどとは正反対の方向をとるものだ。
「このビルディングブロックアプローチを活用することが、業界の向かうべき正しい方向だということは疑問の余地はない。仮想化は、適切に設計すれば、ここで中心的役割を果たすことができる」とKettler氏。
仮想化は、仮想マシンと呼ばれるパーティションによって、1台のコンピュータで複数のOSを並行して稼動させることを可能にするものだ。すでに製品に組み込まれているIntelの「Virtualization Technology(VT)」と、まもなくリリースされるAdvanced Micro Devices(AMD)の「AMD-V」によって、単一のシステムで「Windows」や「Linux」を稼働させることができる。サーバで仮想化を利用する大きな利点は、1台のマシンをより効率よく運用し、ニーズの変化にコンピュータのタスクを対応させることがより容易になる点だと、Kettler氏は述べた。
「ビッグアイアン」と呼ばれるIBMのメインフレームのような、ハイエンドのマルチプロセッサ搭載マシンから仮想化へと移行することは、単純な問題ではない。Kettler氏は、移行への重要な要素の1つとしてネットワークシステムにつながる入出力(I/O)機器の仮想化をあげ、I/Oの標準化が必要だと訴えた。
「特にI/Oに関しては、これを具体化するためには、業界としてしなければならないことがたくさんある。相互運用性を確保し、まったく異なったハードウェアのプラットフォーム上に仮想マシンを構築し、すべてを混在させてシームレスに調和させなければならないのだ」
Kettler氏は、標準化の推進を確実にすべき企業を名指しすることはしなかったが、背負うべき責任は大手企業にあることを示唆し、Dellとしては、I/Oの標準化を実現するために精力的に働きかけていくつもりだと述べた。「仮想化市場にはすでに多くの企業が参入し、定着してきている」とKettler氏は語り、だからこそ、標準化が「現在の状況を強固なものにする唯一の方法」であることを理解しなければならないと結んだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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