「ブレードサーバの本格普及期はこれからだ。デルは2002年にブレードサーバを出荷して以来、新製品をリリースしていなかったが、先月発表したPowerEdge 1855でこの市場に再参入を果たした。後発ではあるが、製品は低価格であるうえに、本日発表する仮想化ソリューションを提供することで、シェアアップをめざしたい」。こう述べるのは、デル エンタープライズ事業本部 ソリューション本部長 多田和之氏だ。デルは14日、ブレードサーバ製品に向けた新たな仮想化ソリューションの提供を発表するとともに、同社のブレードサーバ戦略について語った。
デル エンタープライズ事業本部 ソリューション本部長 多田和之氏 |
同社が同日発表したのは、VMwareの仮想化ソフトウェアを使ったソリューション。これは、1台の物理的なサーバ上にて異なったOSやアプリケーションを稼働させることができるものだ。通常のシステムでは、1台のサーバにつき1つのアプリケーションが稼働しているため、1台のサーバにおけるアプリケーションの稼働率は15%〜20%程度といわれている。「残りのリソースをいかに利用するかが課題となっていたが、今回紹介するソリューションは、仮想化を実行することで稼働率を高め、効率的なサーバの運用が可能となるものだ」と多田氏はいう。
新ソリューションは、2005年1月より提供される。具体的なソリューションは、VMotionとSAN Boot。VMotionは、ブレードサーバを稼働させた状態で仮想マシンの物理サーバ間移動が可能となるもの。サーバの負荷分散が可能となるほか、システムを停止させずにハードウェアのアップグレードやブレードの交換ができ、メンテナンス時には稼働中の仮想マシンを他の物理サーバに移行させることもできるという。
SAN Bootは、ブレードサーバの内蔵ディスクではなく、ファイバチャネルで接続したストレージ内のブートドライブから仮想マシンソフトVMware ESX Serverを起動するもの。ラックマウント型のサーバではすでに実現できている技術をブレードに対しても提供する。Dell|EMCストレージのクローン機能を併用すれば、ストレージ内に仮想マシンのコピーを作成し、万が一仮想マシンに障害が起こった際も迅速なシステム復旧ができるという。ブレードサーバにディスクを内蔵しないことで、サーバのコスト削減や、発熱によるディスク障害の回避、運用管理の統合化が可能になるという。
新ブレードサーバは「普及に向けた課題をすべてクリア」
デル エンタープライズ事業本部 エンタープライズ事業開発部 マネージャー 布谷恒和氏 |
デル エンタープライズ事業本部 エンタープライズ事業開発部 マネージャーの布谷恒和氏は、ブレードサーバが普及に至らなかった理由として、「ブレードは、1Uサーバで構成した場合と比べて価格が高く、スペックや機能も劣っていた。また、設計が特殊なため、通常のサーバと同様の運用管理ができなかった。さらには、同一メーカーのブレードであっても、世代が違うとシャーシが対応していないといったような課題があったためだ」と述べる。
これらの課題を、PowerEdge 1855ではすべてクリアしたと布谷氏はいう。価格は、シャーシにブレード10基を搭載した場合で281万4000円からと、「今までのブレード製品の半額に近い価格設定だ。6サーバ以上であれば、シャーシ込みでもブレードサーバのほうが割安」と、低価格性をアピールする。
また、運用管理についても、同社のOpenManageソフトウェアで、ブレードサーバ、ラックマウントサーバ、タワーサーバに関わらず、「すべてシンプルに運用管理ができる」と布谷氏。さらに、顧客の投資を保護するため、現在開発中で2006年にはリリース予定という次世代ブレードサーバについても、「現在のシャーシで対応可能だ」としている。
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