そこで問題となるのは、Vistaの発売延期がコンピュータの売上に与える影響の大きさだ。すなわち、一般ユーザーはVistaは後から追加することにして今すぐにPCを購入するのか、あるいはVistaを搭載したPCが発売されるまで購入を控えるのか、という点が問題になる。
仮に消費者がVista自体を欲しいと考えるなら、彼らは今PCを購入して、後からOSをアップグレードするのではなく、Vista搭載機が発売されるまで待つ、とDoherty氏は予想する。「Vistaはグラフィック関連システムの負荷が非常に大きい・・・そのため、向こう12カ月ほどの間に、一般ユーザー向けのアップグレードを買うことは魅力のある選択肢ではない。それではVistaを活用するためのグラフィックアクセラレーション機能がないからだ。(同氏)
Vistaの発売延期によるPCの売上減を食い止めるために、例えば年内にPCを購入した人々にVistaへの無料アップグレードを提供するといった計画はあるのか否かについて、Microsoftはコメントを避けた。
Allchinは、「後日、より詳しい発表を行う」と語った。
分かれるユーザーの反応
Microsoftが開催したウェブ開発者向け カンファレンス「Mix '06」の参加者らは、同社がWindows Vistaの出荷日を遅らせたと聞いて驚きの表情を示していた。
たとえば、MicrosoftのパートナーであるBTでは、Windows Vistaを使う顧客向けアプリケーションのプロトタイプを今年夏の後半につくり始める計画を立てていた。だが、Vistaの出荷が延期になったことで、BTでもこの計画を遅らせる必要が出てきたと、同社のプロジェクトディレクター、Steve Konya氏は述べた。
「私は(出荷延期の決定に)驚いている。Microsoftはここで実に素晴らしいものを見せており、参加者はVistaの登場で可能になることを考えてとても興奮していたし、私はVistaの開発がすでにその程度まで進んでいると思っていた」(Konya氏)
また、Microsoftがこれまで何度かVistaの投入を遅らせてきていることから、スケジュールにもう1度変更があることはおそらく予期せぬことではないと言う者もいた。
コンサルティング会社Telligentの開発エンジニアであるRandy McClure氏は、同社ではウェブベースのデスクトップシステムを採用していることから、Vistaの登場が遅れても大きな影響はないだろうと述べた。それでも同氏はがっかりしたという。
「すこし不安になっている。それでも、急いで出されるよりは、きちんとしてくれたほうがいい。Microsoftの製品開発は遅れ気味で、いつもそれが問題になっている--彼らが遅れれば、われわれが急かすことになる」(McClure氏)
一般ユーザーにとってはVistaの出荷延期は大きな問題だが、GartnerアナリストのMichael Silver氏は、わずかな延期なら企業ユーザーには影響は出ないはずだと述べている。企業では新OSへの移行に時間がかかる可能性が高いからだ。
「大半の企業では、Windows Vistaの導入開始前に18カ月をかけて計画の策定やテストを行う予定だ。そのため、今回発表された出荷の遅れは企業の導入計画にはそれほど大きな影響を与えないだろう」と同氏は電子メールのなかで述べている。
皮肉にも、Microsoftの新しい計画では、企業顧客は今年中にVistaを手にする一方、一般ユーザーは来年まで待たなくてはならないことになった。
Silver氏は、ほかの選択肢を検討し始める企業は多くないと思うと述べたが、しかしLinuxベンダー各社では、間違いなくこの遅れを売り込みの機会として利用しようとしている。
「Novellは、自社の新しいデスクトップ用Linux OSのベータを、今週行われる『BrainShare』で披露することになっている。このLinux OSには一部にVistaと似た部分もあり、そして今回の延期で、出荷もWindows Vistaより先になる」(Silver氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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