IDC Japanは3月14日、2005年の国内PC市場実績について発表した。調査によると、2005年の出荷台数は前年比9.1%増の1461万台となった。
家庭とビジネス向けの出荷動向を見ると、家庭市場は2004年にはオリンピックなどの影響で家電製品に個人消費が流出していたが、2005年にはPCへと需要が戻り、前年比13.6%増の566万台と、過去4年連続のマイナス成長からプラス成長へと転換した。また、主要ベンダーが例年であれば1月出荷開始となる春モデルの出荷時期を前倒しして、2005年12月から開始していることもプラス要因となった。
一方、ビジネス市場は前年比6.3%増と、過去2年連続の2桁成長から1桁成長へと鈍化がみられる。大企業においては2005年第1四半期まででリプレース需要が一巡し、その後個人情報保護法の施行にともない、セキュリティ対策としてのPC買い替えによって需要が維持されてきたが、こうした需要も年後半にかけて鈍化がみられる。
こうした状況について、IDC Japanパーソナルコンピューティングシニアマーケットアナリストの新行内久美氏は「2005年の国内PC市場においては家庭市場の成長率の高さが目立つが、4年連続のマイナス成長で家庭市場が縮小しており、拡大を続けてきたビジネス市場とは格差が生じている。成長率が鈍化したとはいえ、国内PC市場全体の6割超を占めるビジネス市場が全体を支える構造に変化はない」と分析している。
ベンダー別では、1位がNEC、2位が富士通、3位がデル、4位が東芝となっている。2004年5位であった日本IBMがレノボへのPC事業売却によりランク外となり、前年6位〜8位であった日本HP、ソニー、日立製作所がそれぞれ順位をあげている。5月より事業を開始したレノボ・ジャパンは8位となった。なお、レノボ・ジャパンの出荷には2005年第2四半期の日本IBM PC事業部による出荷を含んで計上している。
2005年の国内PC市場では、上位5社のうち富士通を除く4社が二桁成長を記録し、シェアも伸ばしている。2位の富士通は、他社がシェア拡大策を強化するなかで収益重視の方針をとっており、結果的にシェアは1.4ポイント減少している。一方、6位以下のベンダーは、アップルコンピュータを除いてシェアを減少させている。9位のアップルコンピュータは、2005年1月に発売開始したMac miniのヒットなどにより、前年比24.7%増と上位10社中もっとも高い成長を遂げている。
IDC Japanパーソナルコンピューティングシニアマーケットアナリストの松尾圭介氏は「2005年の後半より、成長の続く中小企業市場へベンダー各社が集中した結果、同市場でのベンダー競合が激化している。全体として鈍化傾向にあるビジネス市場において、すべてのユーザーセグメントでベンダー競合はさらに激化するものとみられ、厳しい価格競争によってベンダー企業の体力が試される局面を迎えると見込まれる」と述べている。
IDC Japanでは、2006年の国内PC市場を前年比0.2%増の1464万台と予測している。2006年末に発売予定の新OS「Windows Vista」登場前の買い控えや、ビジネス市場の成長鈍化などが見込まれ、2005年とほぼ同程度の市場規模となる見通しだ。こうした状況が解消される2007年以降には需要が回復し、再び成長基調へ戻ると見ている。
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