カリフォルニア州メンローパーク発--サーバソフトウェアに対して従業員1人当たり140ドルの年間使用料という料金体系をとるSun Microsystemsの「Project Orion」という戦略が2003年後半に発表された際には、目新しいものとして受け取られた。しかし、Sunの社長Jonathan Schwartzの意見が通っていれば、この料金体系は数年早く実現していたはずだ。
この料金体系がもっと早期に実現しなかった理由は、Sunの上級管理職らが慎重になり過ぎたためであると、同社のCEOであるScott McNealyは米国時間2月24日に行われた記者会見で語った。しかし、IBMやBEA Systemsが採用している標準的なビジネスモデルに固執した当時の上級管理職らはもうその職にない。
競合他社に成功をもたらしたJavaサーバソフトウェアのビジネスモデルは、Sunにはそれほどの利益をもたらさなかった。そしてMcNealyによれば、このモデルを支持したSunの経営幹部らは、同社の「UltraSparc T1」(開発コード名「Niagara」)ベースのサーバを積極的に売り込むほど強気ではなかったという。
Schwartzによれば、Orionのアイデアを最初に提案したのは1999年か2000年、もしかしたらそれよりも早い時期だったろうという。Orionは、サーバプロセッサ数、電子メールのメールボックス数、ユーザー数、ストレージ容量をもとに課金するといった複雑な料金体系に代わるものとして提案された。Orionでの料金体系は、サーバソフトウェアを使用する従業員数や顧客数に関係なく、企業の総従業員数に基づいている。そして、Sunはこれまでに110万以上の契約を獲得している。
「何でもシンプルな方がいい」(Schwartz)
McNealyによれば、SunはIBMやBEAの料金体系を試みたが、同社の製品でそれを成功させるには「あまりにも遅すぎた」という。
SchwartzはProject Orionの料金体系で特許を申請し、同プロジェクトは2003年に「Java Enterprise System(JES)」として登場することになった。
SunはSolarisで行ったように、JESを無償で提供し始めており、すべてをオープンソースソフトウェアにする予定だ。McNealyによれば、サポートを提供することで利益を得る計画だという。
「われわれは、サービス契約数が興味深い数字となるだろうと考えている」(McNealy)
自社製品を無償で提供する(SunはUltraSparc T1製品も60日間無償で貸し出している)というSunの戦略は挑戦的だ。しかしSunにとっては、選択肢は他にないとMcNealyは述べている。
「議論を呼ぶ戦略を持たずして、利益を上げる機会はないというのがわれわれの見解だ。そうしなければ、(競合他社と)差をつける材料がなくなる」(McNealy)
McNealyとSchwartzがイベントで大いに宣伝した、議論を呼ぶプロジェクトの1つに「Sun Grid」がある。これは、1プロセッサ当たり1時間1ドルで顧客にサーバ群を使用させるものだ。Sun Gridの立ち上げは困難を極めた。しかし、顧客は電話交換システムを自社で運用したいと思わないのと同様、最終的には計算センターを自社で運用したいとは思わなくなるとSunは確信している。
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