カリフォルニア州サンノゼ発--デジタルデバイド(情報格差)の問題を解消するには、まずハイテク企業各社がセキュリティ問題を解決する必要がある、とSun MicrosystemsのCEOであるScott McNealyは語った。
当然のことながら、McNealyが示した解決策にはSunが長年進めてきた構想の一部が含まれていた。
現在、世界のおよそ4人に3人の人々がインターネットへのアクセス手段を持たない。インターネット向けサーバを主に販売しているSunは、このようなデジタルデバイドを解消する1つの手段として、全世界にコンピュータを普及させようとしている。
しかし、そのような取り組みを進める上で、セキュリティ問題がネックとなる可能性があるとMcNealyは主張する。
同氏は米国時間2月14日、カリフォルニア州サンノゼで今週開幕した世界最大規模の情報セキュリティカンファレンス「RSA Conference 2006」の基調演説で、「セキュリティやアクセスの問題を解決しない限り、(デジタルデバイドの解消は)実現しない」と語った。
そしてMcNealyにとって、その答えはオープンアーキテクチャと、セキュリティ問題を解決するためのコードの共有にある。
同氏は、Sunのオープンアーキテクチャに関する取り組みとして、Javaや同社のUnix系OS「Solaris 10」のオープンソース化、さらに標準化団体Liberty Allianceの創設を挙げた。
McNealyは、セキュリティ問題が発生する主な原因として、データセンターで使われる技術に統一性がない一方で、各種デスクトップコンピュータが事実上同一化している点を指摘した。同氏によると、例えば、一部の企業は異なるベンダー150社の技術をデータセンターに集めているという。しかし、各ベンダーが年間に多数のパッチを公開するため、複数のベンダーの技術が混在するデータセンターではセキュリティ問題が複雑化する、と同氏は指摘する。
「しかも、それらの企業では、なぜ自分たちがセキュリティ問題を抱えているのか分からないでいる」(McNealy)
一方、クライアント側から見ると問題は180度変わる、と同氏は付け加えた。
McNealyは、「DNAの種類が少なければ、1つのウイルスでも多くのコンピュータにダメージを与えることができる」と述べ、「DNAの種類が少ないのは独占状態が理由だ。どの企業による独占状態かは伏せておこう」と付け加えた。
Sunは長年、「Sun Ray」シリーズの販売を通じて、デスクトップに代わるものとしてシンクライアントコンセプトを推進してきた。
しかし、既存システムからの脱却には多額のコストがかかる顧客は、そのような技術の導入には躊躇するだろう。しかし、そのようなコストをかければ、元の技術の購入費や関連サポートの費用を容易に削減できる、とMcNealyは指摘する。
McNealyがそのような内容の基調演説を行った背景には、Sunがセキュリティ問題への取り組みをさらに強化していることに加え、顧客の間で、安全な金融取引を行うために自社のシステムを強化する手段を模索する動きが活発化しつつあるという事情がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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