カリフォルニア州バークレー発--新しいコンピュータアーキテクチャを開発する際に、ハードウェア設計者の動きとソフトウェア開発者の動きを調整するのは簡単ではないと、RISCアーキテクチャを開発した草分けの1人、Dave Pattersonは言う。
ハードウェアの開発には何年もかかるが、関連するソフトウェアの開発に本格的に取りかかるにはハードウェアの完成を待たなくてはならない。シミュレータも存在するが、ソフトウェア開発者はこれを本来意図されたようには活用しておらず、そのために開発サイクルはさらに遅れることになるとPattersonは説明した。
そこで出てきたのが「RAMP(Research Accelerator for Multiple Processors)」だ。この開発プログラムでは、「フィールド・プログラマブル・ゲートアレー(FPGA)」というチップを使って研究用のコンピュータを構築しようとしている。FPGAは、プログラムの書き換えが可能で、それに応じてさまざまな振る舞いを見せる(FPGAは半導体の世界の便利屋だと、Intelのある研究者は説明している)。FPGAを搭載するRAMPコンピュータが実現すれば、強力なマシンを低コストで簡単に組み立てられるようになる。
カリフォルニア大学バークレー校(UCB)で電子工学を教えるPattersonは、先週同校で開催されたシンポジウムのなかで、「1つのFPGAに25基のCPUを搭載できるとすると、40個のFPGAには1000基のCPUを搭載できることになる」と語った。同氏の試算によると、このようなコンピュータは約10万ドルで構築できるようになるほか、設置面積もラックの3分の1と比較的小さくて済み、消費電力もわずか約1.5キロワットにしかならないという。
ちなみに、これと同等のコンピューティングクラスタを構築しようとすれば約200万ドルのコストがかかるほか、12台分のラックスペースが必要で、消費電力も120キロワットになる。
RAMPコンピュータの概念は、2004年のあるイベントでの雑談がきっかけで生まれた。そして今、これが現実のものになろうとしている。8つの計算モジュールを搭載したバージョンは今年前半に完成し、また40のモジュールを搭載した完全版は来年後半に登場すると、Pattersonは説明した。同プロジェクトには、UCBのほか、スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学など、各校の研究者が参加している。
「FPGA版スーパーコンピュータを構築するようなことだけはしない。目的はあくまでもシミュレーション用システムだ」(Patterson)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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