この日の参加者のなかには、この従来にない形式が、参加の大きな理由だったという人間も多くいた。また、MashupCampで見かけたさまざまなモットーも、これまでとはかなり異なると感じられるものだった。
例えば、ある人物はセッションを進めるコツを次のように説明した。「参加者はどんな人であれ、その場にふさわしい人間であり、どんな出来事でも起こるべくして起こったものだ。セッションにはこれといった開始時間も終了時間もなく、自然に始まって自然に終わればいい」
また、「二本足の法則」を掲げているセッションもあった。この言葉が意味するのは、「セッションの最中に、学ぶものも貢献できるものもないと判断したら、二本の足を使ってより生産的なセッションを探さなければならない」ということらしい。
多くの参加者にとって、マッシュアップから「収入を得る方法とビジネスモデルについて("Monetization and business models")」というセッションは生産性がほかよりも高いものだった。少なくとも65人の参加者がこのセッションに参加し、約90分間にわたって、カスタムアプリケーションで利益を上げるためのやり方について意見を出し合った。
結局これといったコンセンサスには至らなかったものの、さまざまなカテゴリーのマッシュアップ開発者を定義する方法や、売上につながる可能性が高そうなカテゴリーのマッシュアップを見つけ出す方法に関してはいくつかの合意も得られた。
このセッションで、利益につながりそうな分野とされたのは、マッシュアップ開発が購入したいと考えそうなAPIの開発だった。また、APIを無償で提供し、付帯サービスで料金を取るというやり方や、スポンサーを引きつけるマッシュアップや、HousingMapsがきっかけでGoogleに就職したRademacherの場合のように、仕事探しに役立つマッシュアップも挙げられた。
このセッションが終わると、参加者の多くは別のセッションに移動した。こちらのテーマはベンチャーキャピタルに関するものだった。
奇妙なことに、こちらのセッションでは、どんな種類のマッシュアップがVCから資金を得られそうかという点は話題の中心にならなかった。あとになってわかってきたのは、実際のベンチャーキャピタリスト3人が司会を務めたこのセッションの目的は、マッシュアップ開発者にベンチャーキャピタル業界の仕組みや、自分のプロジェクトにお金をださせようとしたときにどんなことを予想しておくべきかといったことを教えることだった。
同じように、スタンフォード大学ロースクール教授のLarry Lessigが司会を務めたセッションでは、Creative Commonsのパブリックライセンスがテーマだったが、多くの参加者が具体的な事柄--たとえば、YahooやMicrosoftのような営利企業の公開するAPIを利用するにあたって何ができるかの説明などを期待していたのに対し、ディスカッションの話題はもっと一般的な内容の、米国の著作権法に特有の点に関する興味深いセミナーとなった。
それでも、会場の至る所で幸せそうな顔をした技術者を多く見かけた。結局、このイベントの真の目的はネットワーク作りであることが後で解った。実際、2,3人の参加者がラップトップを囲んで新しいマッシュアップを見せ合ったり、各種のプロジェクトについて話し合っていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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