アドビシステムズ(アドビ)は2月7日、都内のホテルで事業戦略説明会を開催した。壇上に立ったGarrett Ilg氏は、この1月に日本法人の社長に就任したばかりだが、それ以前には1999年から2003年までの約4年間、日本BEAシステムズで社長を務めたほか、日本でのビジネス経験が豊富な人物だ。
アドビによるマクロメディアの買収が完了し、日本においても両社の統合は急速に進められつつある。PDFに加えて、Flashという強大なインストールベースを持つコンテンツプラットフォームを得たアドビは、今後日本でどのようにビジネスを展開していくのだろうか。Ilg氏に話を聞いた。
--以前はBEAシステムズで日本法人の社長や上級副社長を務められたと聞いています。アドビに移られてひと月ほどですが、どんな印象を持っていますか。
どういう役割を果たしているかという点での違いはあっても、両社の間にはソフトウェア会社としての多くの共通点があると感じています。
共通点の1つめは、共にオープンスタンダードをベースとした会社であるという点です。アドビは、まさにオープンスタンダードを代表する企業だと言えるでしょう。アドビの提供する製品はWindows、Macintoshの両プラットフォームで展開されており、PDFは標準的なドキュメントフォーマットとして、ユビキタスな存在になっています。さらに、Flashというスタンダードなコンテンツプラットフォームのテクノロジーも持っています。
2つめは、どちらにも、ビジネスに集中することで成功し、勝利を収めようという熱意が感じられる点です。マクロメディアと統合したアドビには、新たな会社としての熱意や、顧客のために動こうという姿勢があります。2つの会社を合計した和よりも大きなシナジーを生み出そうとするムーブメントを感じます。
3つめの共通点は、製品がインフラ関係のものか、プロのクリエイター向けのものか、コンシューマー向けのものかといったことにかかわらず、非常に品質の高い、信頼性のある、セキュアな「エンゲージメントプラットフォーム」を提供している点です。企業は、そのプラットフォームの上で、安心してビジネスを展開することができます。
私自身、これまでのキャリアの中で、いろいろなものを見て、学んできました。この新たな環境の中で役に立つと考えられるさまざまな要素を提供し、日本におけるアドビの成長に貢献できると考えています。
--米国でのアドビとマクロメディアの統合後、日本では両社の統合へ向けた具体的な動きはどこまで進んでいますか。
顧客、パートナーの皆様に対して迷惑が掛からないよう、速やかに両社の統合を進めています。日本においては、アドビ本社への移転が進んでおり、マクロメディアのスタッフの80%がすでに移転を完了しています。また、ビジネス管理、販売予測、人事管理、給与体系などの面では一体化が完了しています。近い将来、法人としての形態もアドビに一本化されます。
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