日立製作所は1月20日、RFIDを活用した原子力プラントの建設技術を開発したと発表した。
原子力プラントは100万点を超える設備や部品で構成されており、それぞれの機器の量が多く履歴をたどることも複雑で難しい。加えて社会的な責任も大きいため、品質記録等に信頼性の高い情報トレーサビリティが要求される。今回開発されたのは、0.4mm角のアンテナ内蔵型の非接触ICチップ「ミューチップ」に代表されるRFID技術と、国内19プラントにおける原子力プラント建設技術を融合したユビキタスプラント建設技術。RFIDを用いることで人や物の品質管理を向上し、関連作業の効率化を行うというものだ。
この技術を配管製造および据付け工事に適用した場合、工場の材料受け入れ時点で各材料にRFIDタグの取付けが行われる。荷受けや発送など物流管理に用いられるだけでなく、曲げや溶接など作業管理ポイントでの進捗を収集し、高効率な作業管理が可能になる。また、現地サイトで荷受けや作業毎の管理を実施することで、製品確認や記録作成といった作業を効率化、ヒューマンエラーの防止にもつながるという。
電気工事への適用では、ケーブル結線作業でRFIDを端子側と芯線側に取付けることにより、作業員の結線作業の簡略化やエラーチェックなどに応用できる結線ナビシステムを開発。上流設計の回路CADデータに基づく結線の正誤判定機能を持ち、パソコンやPDAから確認することで結線作業の間違いを自動確認するという。さらに、RFIDを適用するにあたってのルール作りや既存システムとの融合、金属材料に直接装着できる金属対応アンテナなどの基盤技術についても開発する予定だ。
同社では日立は今後、運転開始後のメンテナンスや予防保全も含めたプラントトータルライフサイクルへの適用拡張を目指すという。
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