USENの株価動向に関心が集まる理由

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 証券界で毎年年初の恒例となっているのが、様々な経済マスコミがアナリストなど市場関係者を対象にアンケート調査する「今年活躍が期待できる銘柄」の発表だ。

 東証1部では、トヨタ自動車、松下電器、三菱商事、新日鉄、三菱UFJなど“常連の優良企業”が上位を占めるため、面白みに欠ける印象は否めない。それに比べてジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスのいわゆる新興3市場の銘柄については、毎年人気銘柄の変動がかなり激しい。そして今回、楽天、ライブドア、イートレード、インデックスなどと並んで市場関係者の票を集めたのが大証ヘラクレスに上場しているUSEN(旧・有線ブロード)だ。

 USENが活躍期待銘柄のアンケート調査で人気を集めたのは、2005年秋に浮上した楽天によるTBSへの敵対的M&A騒動に関連して、プロ野球球団の横浜ベイスターズの買収に名乗を上げたことで知名度が上昇したことだけではなさそうだ。USENの株価は2005年年末から2006年年明けの先週末の1月6日まで8日連騰するなど急反発をみせている。今後の事業展開と業績見通しについて探った。

 USENが昨年12月21日に発表した2006年8月期の第1四半期(2005年9〜11月)の連結業績は、営業利益が3300万円と、前年同期比で98%減もの大幅減益となった。また、同経常損益は708万円の赤字となった。光高速通信事業では加入件数を増やし赤字幅が縮小したものの、無料ブロードバンド放送事業の「GyaO(ギャオ)」での先行投資負担が収益の足を引っ張るかたちとなった。しかし、会社側では「05年12月以降は投資を絞る」としており、中間期、通期ともに業績の期初予想を据え置いた。

 04年12月に傘下に収めた映画配給会社のギャガ・コミュニケーションの売上高が加わったことから、第1四半期の売上高は前年同期比23%増の407億2400万円となった。部門別売上高では光高速通信部門が前年同期比44%増の約70億円と拡大した。

 11月末の加入件数は40万7000件と1年前に比べて90%程度と大きな伸びをみせた。昨年4月からスタートしたGyaOの視聴登録者は11月末で457万人(現在では500万人を突破)に拡大している。ただ、広告出稿がまだ軌道に乗らないことから、売上高は3億円程度に止まっている。部門別で赤字額で大きかったのは、映像・コンテンツ事業で18億円の赤字。このうち17億円は事業の立ち上げに伴うGyaOに関する初期投資に関連したものだ。主要なコストはコンテンツ取得費用約10億円、テレビCMを中心とした広告宣伝費約8億円となっている。しかし、同社ではGyaOの年間赤字想定額を20億円程度としており、初期投資はほとんど終了したことになる。

 さらに、12月19日にソフトバンクとヤフーがスポーツや映画などの動画番組をインターネット配信する新会社「TVバンク」を設立すると発表したことから、「USENの展開するGyaOに強力な競合相手の登場」とする見方が強まり、USENの株価が急落し、一時、3000円台を割り込んだ件については、一部で報じられた両社の配信コンテンツ数の大きな差は誤解であることがその後明らかになってきたことで「極端に不利な状況ではない」(外国証券アナリスト)との見方も出はじめ、株価も12月26日以降急反発に転じ、3500円台を回復し、2005年来高値圏に浮上してきている。

 会社側では2006年8月期の連結業績予想について、売上高1800億円(前期比17%増)、営業利益120億円(同26%増)、経常利益85億円(同35%増)、純利益10億円(前期は277億円の赤字)と最終損益の黒字転換を見込んでいる。

 時価で試算した連結PERが260倍の超高水準となるなどバリュエーション面ではかなりの割高水準になっている株価だが、第2四半期以降のGyaOの収益状況や、年内にも予想される大幅な株式分割、さらに積極的なM&Aを含む新規事業の展開などが評価された場合は、中期的には株価5000円を目指す展開も十分期待できそうだ。(超眼)

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