「デジタルホーム」は生活の質を向上させる、との概念に賛同する消費者があまりにも少ないのは、エレクトロニクス業界にすべての責任があるという。米国時間5日にDigital Living Roomカンファレンスで講演した電子機器ベンダーの幹部らが語った。
米国では、インターネットからの映画のダウンロード、ビデオゲーム機からのウェブへのアクセス、そして、携帯電話によるデジタルビデオレコーダの遠隔地操作を可能にするホームネットワークの構築が遅れている。
業界関係者らは、午前のパネルディスカッションに集まった150人の聴衆に対し、消費者はまだホームネットワークの必要性を感じておらず、また、ホームネットワークの設定が複雑であるため潜在的な購入者も尻込みしている、と語った。デザインコンサルティング会社Nielsen Norman Groupの共同創業者Don Normanによると、ネットワークの構築にはIT専門家に近い知識が要求されるという。
Normanは、自宅のホームネットワークについて、「私はMITを卒業したエンジニアで、Appleで幹部を務めた経験もある。だが、接続は人に依頼する必要があった」と語った。
消費者が、いつでも、どこでも、どのようなデバイスからでも、デジタル写真、ゲーム、電子メール、楽曲、そしてビデオにアクセスできるようにすることが業界の目標だ。これを実現するためには、製品が簡単に連動する必要がある。しかし、今のところそのような互換性はほとんどない。
Appleの「iTunes」はAppleの「iPod」に対応する。DellのコンピュータはDellのプリンタに対応する。ソニーの製品は別のソニー製品に対応する。しかし、これら3社の製品間の相互運用は、たとえ実現できても困難だ。
この問題を具体的に示すため、NormanはPCの背後に回り、そこに張り巡らされた多数のケーブル類を見せた。Normanは、「電源プラグさえ間違えることがある」と語り、電源ケーブルさえ一本化できない業界の無力さを嘲笑した。
同じくこのパネルディスカッションに参加したGartnerのアナリスト、Van Bakerによると、協力ができない理由はお金だという。エレクトロニクス企業各社は、自社製品を高く販売できるよう、各社独自の技術に消費者を縛り付けようとしていると、同氏は語っている。
Bakerは150人の聴衆に向かい、「製造コストが2ドルしかかからないケーブルを、49ドル95セントで買わせたいのだ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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