GoogleやYahoo!などの検索業界の巨人に対し、Teomaという検索技術で立ち向かうAsk Jeeves。インデックス数の多さでは大手に劣るものの、検索の技術力では負けないと強気だ。また同社は、2005年2月にBloglinesを買収し、ブログと検索の融合に向けたサービスの取り組みにも注力している。
米Ask Jeevesシニアバイスプレジデントのジム・ランゾーン氏と、同社Bloglines担当バイスプレジデントのマーク・フレッチャー氏に、Ask Jeevesの検索技術の強みや今後の戦略について聞いた。
記事の前半ではランゾーン氏のインタビューを、後半ではフレッチャー氏のインタビューをお届けする。
検索結果は数よりも質で勝負
--InterActiveCorp(IAC)によって2005年3月に買収されましたが、それによってどういった変化があるのでしょう。
ランゾーン:IACはオンライン旅行サービスのExpediaや、地域情報サービスのCitySearchなど、さまざまなサービスを提供しています。長期的にはこうしたサービスとの連携なども視野に入ると思いますが、現状でAsk Jeevesのビジネスに大きな変化は起きていません。これは、IACがこれまでに買収した他のサービスについても同じです。日本法人となるアスク ジーブス ジャパンはトランスコスモスとの合弁会社ですが、こちらについても特に変わることはありません。
--Askは優れた技術を持ちながらも、GoogleやYahoo!などのメジャーな検索エンジンと比べると、知名度が今ひとつおよびませんね。
我々の戦略は、何よりもまず最良の技術を提供することで、次にその技術をマーケティングして広めていくことです。統計によれば、ほとんどの人は2種類以上の検索エンジンを使っており、もっといいエンジンがあれば簡単にそちらをメインに切り替えるといわれています。我々の最初の目標は、GoogleやYahoo!といった人気検索サービスの代替として使ってもらうことです。その後どのエンジンを使うかは、ユーザーが決めることだと思います。
--現在、検索エンジンの優劣を比較するのに最も一般的な基準の1つは、インデックスしているページの数だと思いますが、Askはこの点でも大手3強の検索エンジンに負けているわけですが。
確かにそうかもしれません。しかし、本当に重要なのは巨大なインデックスを持つことではなく、質の高いインデックスを持つことでしょう。実際、何らかの答えを求めて検索した場合、世の中にあるほとんどのウェブページでは、答えが得られません。このように重要度の低いページをいくらインデックスしても、かえって欲しい情報が見つけにくくなるだけです。
Ask JeevesやAsk.jpが採用している検索エンジンのTeomaは、さまざまなトピックについて、非常に関連性の高い情報を見つけ出してくれる優秀なエンジンです。
Teomaの技術力の高さについて語るランゾーン氏 |
他の検索エンジンは、単純に他のサイトからのリンクが多いか少ないか、つまりリンクの量だけでウェブサイトの重要度を測っています。これに対し、リンクの質を重視するのがTeomaです。ウェブ上には、各話題について最も詳しいサイトやコミュニティなど、権威を持ったサイトが存在します。Teomaでは、こうした権威のあるサイトからいかに多くのリンクが貼られているかを重視するのです。
Google創業者のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンの2人は、実はスタンフォード大学で書いた論文の中でTeomaに近いコンセプトに触れています。ただ、それはアイデアに過ぎませんでした。またその後、1997年頃にIBMがCLEVERというプロジェクト名で、このコンセプトの実現に挑みますが、結局実現しませんでした。1つの検索を処理するのに2週間も時間がかかったのです。IBMは、これだけの量の計算をリアルタイムでこなすとしたら、テキサス州と同じ大きさのサーバ群が必要だという結論に達しました。
しかし、Ask Jeevesが2001年買収したTeoma開発チームの7人は、この検索をリアルタイムで実行できる方法を発見したのです。GoogleもIBMも、次世代検索で何が重要なのかは知っているのに、未だにそれを実現する方法を知りません。今のところ答えを知っているのは私たちだけなのです。
--その方法についてはもちろん特許を持っていて、改良を続けていますか。
核となる概念についての特許は取得していますが、むしろ大事なのはその実装方法でしょう。
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