Hewlett-Packard(HP)という企業は、ある意味において、知的財産に関する論争が持つ2つの側面を映し出す存在となっている。
HPでは近年、同社に特許使用料の支払いを要求する企業や個人に対処する件数が増加している。要求する側の一部には、特許を公開市場で購入して金儲けに利用する「特許荒らし」も含まれていると、HPの知的財産権担当バイスプレジデントのJoe Beyersは最近のインタビューで語った。
同氏によると、特許使用料の支払い要求は急増しており、この3〜4年で3倍に増えたという。
しかし、HPは、MicrosoftやIBMと同様、自社の保有する特許や知的財産から多くの利益を得てもいる。2003年1月には、知的財産の保護と有効活用を目的に、同社は知的財産グループを創設した。
HPは当時、知的財産により年間約5000万ドル相当の「価値」を生み出していた。ここでいう価値とは、同社へ支払われる特許権使用料から、同社が逆に支払わなければならなかったかもしれない特許権使用料を差し引いたものである。
知的財産グループは現在、年間約2億ドルを稼ぎ出し、当初の4倍の価値を生み出すまでになった。同グループによる主な取り引きとしては、記録可能CD/DVDディスクのラベルに記録装置で印字するためのLightScribe技術ライセンスをアジアのメーカー数社に提供したことが挙げられる。また、同グループは、Gatewayを提訴してもいる。
「過去2年半の間に2500件の取り引きがあった」とBeyersは言う。
知的財産は、今やIT業界における主な火種のひとつである。ここ数年間で、複数の中小企業が、MicrosoftやIntelといった大企業を相手に特許訴訟を起こし、数百万ドルを受け取る評決と和解を勝ち取った。
また、Ross PerotやMicrosoftの元最高情報責任者(CTO)Nathan Myhrvoldなどの起業家は、大量の特許を買占める会社をそれぞれ設立しており、これが特許訴訟ラッシュを招くのではないかと一部で考えられている。他のシリコンバレーの住人同様、Beyersも、この手の会社が起業されることに「強い懸念」を感じていると言う。
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