米特許商標庁は、MicrosoftのFATファイルシステムに関する2件の特許について、これを却下した。だが同社は米国時間5日、幅広く普及した同ファイルシステムを保護するための戦いを放棄するつもりがないことを明らかにした。
特許庁は先月この判断を下していたが、それが公表されたのは今週に入ってからだった。2件のうち、1件については今回の判断が最終判断になるとみられているが、もう1件のほうはそうならないようだ。どちらの件についても、Microsoftはさらに申し立てを続けることができる。
Public Patent Foundation(PUBPAT)は、今回の却下の判断に先立ち、「先行技術」の存在を理由に無効を主張して再審請求を行っていた。同グループでは、Microsoftの特許申請より前に同様の発明があった形跡があると主張。これに対し、特許庁の審査官は片方の特許について、2004年9月にこれを取り消す旨の仮決定を発表していた。
FATフォーマットはWindows向けに開発されたものだが、各種コンピュータのほか、デジタルカメラなどのデバイスで使うフラッシュメモリカードにも広く採用されてきている。同フォーマットはまたオープンソースソフトウェアのSambaにも採用されており、それによってLinux/UnixマシンとWindows PCとのデータ交換を実現している。またLinuxでも、Windowsのハードディスク上でファイルを直接読み書きするために、同フォーマットが利用されている。
この件をめぐってはこれまで、FATの特許が認められた場合、MicrosoftがLinuxによる自社技術の侵害を主張し、著作権料の支払いを求めるのではないかと懸念されていた。LinuxはGeneral Public License(GPL)で配布されているため、著作権料の支払が発生する特許技術が含まれていると配布ができなくなることから、何らかの金銭的補償の発生は同OSを脅かす事態につながりかねない。
Microsoftの関係者は米国時間5日、審査官が先行技術に関する主張を却下した今回の判断を一定の勝利と捉えていることを明らかにした。Microsoftによると、今回の却下内容はこの特許の発明者の記載方法に重点が置かれていたという.
MicrosoftのDavid Kaefer(Business Development担当ディレクター)は声明のなかで、「PUBPATが提出した先行技術は1つも審査で受け入れられなかった。再審査で浮上した問題は(Microsoft以外の)先行技術とは一切関係が無く、Microsoftのだれを発明者として記載するのが適切かというものだった」と述べた。
PUBPAT関係者からコメントを得ることはできなかった。
Microsoftは、知的財産ライセンスへの取り組み強化の一環として、FATフォーマットをライセンス供与する計画を2003年12月に発表した。同社は当時、フラッシュメモリベンダーのLexar Mediaが同社からFATフォーマット技術のライセンス供与を受けることを発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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