Dellが米国時間10日、第3四半期の決算を発表した。一部製品の修理コストやレイオフ関連の費用が発生した影響で、同期の利益は前年同期に比べて約2億4000万ドル減少している。
同社の声明によると、10月28日締めの第3四半期には、利益が6億600万ドル(1株あたり25セント)となり、前年同期の8億4600万ドル(1株あたり33セント)から大きく減少したという。
この結果、同期における営業キャッシュフローは11億ドル、また年初来のキャッシュフローは33億ドルとなった。なお、同期末時点の現金および投資資金残高は123億ドルとなった。
同期の売上は139億ドルで、10月末の下方修正発表時に出した予想値に達した。なお、同社が第2四半期末の時点で予想していた第3四半期の売上は141億〜145億ドルだった。
「われわれは第3四半期の数値目標が達成できなかった事を残念に思っている。しかし、われわれは常にビジネスの効率改善に向けてさまざまな方法を模索している」と同社CEOのKevin Rollinsは報道陣との電話会議のなかで語った。
同氏はDellの営業部隊がコンピュータの値引き販売を積極的に進め過ぎた点を認めた。同社では一部のノートPCを400ドルで、またデスクトップを300ドルで販売したケースもあった。しかし、Rollinsによると、同社は今後コストを抑制しながら、新たに発売したプレミアムブランド「XPS」シリーズのPCを含めて、製品価格のバランスに重点を置いていくという。
同四半期には予想外の費用が4億5000万ドル発生し、これが大幅な利益減少につながった。
Rollinsによると、Dellは従業員の退職金用に5000万ドル、またオフィスの統合などに2500万ドルの費用を計上したが、これはテキサス、英国、アジアの各拠点で働いていた約1000人の従業員を解雇したのに伴って発生したものだという。
また、同社はOptiPlex製品に使われていたコンデンサに問題が発見されたことから、この交換費用に3億700万ドルを計上。さらに、のれん代の処理にも2900万ドルの費用を計上した。
一方、同社のサービス関連事業では売上が36%の伸びを記録し、前年同期の10億ドルから、第3四半期には12億ドルへと増加した。またストレージ製品の売上も、前年同期の3億ドルから5億ドルへと35%増加。さらに、サーバ関連の売上も前年同期の12億ドルから14億ドルへと16%増加している。
今回の決算発表を受けて、一部のアナリストはDellの問題が欠陥パーツや製品価格の低下によるものだとする同社の説明に懐疑的な見方を示している。
「Dellは、既存のモデルの欠点を無くすことに集中しすぎて、環境の変化に適応できなかったのだと思う」とMoors & CabotアナリストのCindy Shawは投資家向けのニューズレターに記している。
「複数の業界筋の話では、この5年間、Dellのモデルには大きな変化がほとんどないという。この間に、Hewlett-Packard(HP)やLenovo、Acer、Gatewayなどの各社は競争力を高め、Dellとの価格差を縮めてきている」(Shaw)
Dellは、それまで6四半期連続で利益を伸ばしてきたが、ここに来てHPやApple Computerをはじめとするライバル各社との競争激化に直面し、積極的な値下げに出ていたことから、利益が減少に転じた。
「Dellにとって難しいのは、ハイエンドの製品をどうするかだ」と調査会社Current Analysisのシニアアナリスト、Sam Bhavnaniは指摘する。「ノートPCのような人気の高い製品分野で急速に価格低下が進んでいるが、そうしたなかでDellは製品のハイエンド化戦略を進めている」(Bhavnani)
「DellのノートPCの平均販売価格は昨年35%も低下した。そのため同社は、ここ数四半期にわたって予想値を達成するのに苦戦してきた。ただし、プリンタやテレビのような新しい製品カテゴリでは同社の見通しは明るい」
なお、Dellは第4四半期の業績について、売上が146億〜150億ドル、1株あたりの利益は40〜42セントになるとの予想を明らかした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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