SAPは米国時間10月28日、米空軍がOracleと交わした8850万ドル規模の契約について、米政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)に対し、異議申し立てを行った。
SAPの申し立てがGAOに受け入れられれば、空軍とOracleの大型契約は白紙に戻される可能性がある。エンタープライズソフトウェア市場が縮小するなかで、同業界の大手メーカーであるOracleとSAPは、小売向けソフトメーカーRetekをめぐって買収合戦を繰り広げたり、双方のCEO同士で舌戦を交わしたりするなど、これまでも熾烈な戦いを展開してきた。
SAPのPublic Services部門担当プレジデントSteve Peckは、「Oracleの提案は、顧客に最高のバリューをもたらすものでもなければ、リスクの最小化につながるものでもないと、われわれは固く信じている。Oracleが受注に至った経緯や手順、理由を調査してもらいたい」と声明のなかで述べた。
SAPによれば、Expeditionary Combat Support System(遠征戦闘支援システム:ECSS)の提案において同社らが空軍から求められた条件は、軍のミッションを遂行するための最高の機能を、最小限のリスクで実現することだったという。
SAPの声明には「米空軍が求めたのは、ミッションを最小限のリスクで遂行するためのソリューションのうち、『付加価値の最も高い』提案だった。費用面とのバランスを考慮した場合も、これらの要件の方がコストよりも重要だとされていた」と記されている。
また同社は「SAPの提案には、ミッション達成に必要な機能が盛り込まれており、その内容はOracleより優れている。またOracleの提案よりもリスクが少ない」とする評価を米空軍から書面で受け取っていたという。
本件に関し、米空軍から直ちにコメントを得ることはできなかった。
一方、Oracleの広報担当を務めるBob Wynneは、SAPの苦情申し立てを受けて次のような声明を発表した。「われわれの提案が、ECSSのプラットフォームに採用されたことをうれしく思う。米空軍はECSSを担当する業者の選定にあたり、徹底的な評価を実施した・・・米空軍やそのパートナーらと協力し、ECSSの取り組みを是非成功させ、このプロジェクトで掲げられたビジョンを達成したい」
米空軍は11月30日までに、各社から出された提案の評価プロセスを概説した文書をGAOに提出しなければならない。調達に関する異議申し立てに対処する部門を率いるGAOのDaniel Gordonによると、OracleやSAPにも、提出された文書の一部もしくは全部分が開示される予定だという。
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