SAP関係者が明らかにしたところによると、同社は今週、ライバル企業から幹部数名を雇い入れたことを発表する予定だという。
SAPの広報担当Bill Wohlは米国時間16日、アプリケーション開発の分野を中心に高い能力を持つ人材を数名獲得したと述べた。この中には、ライバル企業の「上級職レベル」の人材も含まれているという。WohlはSAPに勤務することになるこれら幹部の名前を明らかにしなかった。だが、同氏によれば、これらの人材はこれまでOracleやPeopleSoft、Siebel Systemsなどに在籍していたという。Oracle、PeopleSoft、Siebel Systemsといえば、SAPが業務アプリケーション分野で激しい戦いを繰り広げてきたライバル企業だ。
Wohlによると、幹部人事の正式発表は、米国時間20日か21日に行われる予定だという。
SAPは、人事/製造/財務などの運用を企業が管理するためのERPアプリケーションを販売する。また同社は、企業が顧客との関係を強化するのに用いるCRMアプリケーションも提供している。
Wohlによると、SAPがソフトウェアの開発を担当する幹部レベルの人材を一度に多数雇い入れるのは珍しいことだという。ライバル企業から雇い入れるのは、営業やマーケティング分野の人材である場合が多いと同氏は述べる。今回採用されたのは、BorlandやSun Microsystemsで開発部門を率いた経験をもつ同社のプラットフォーム・エコシステム開発担当シニアバイスプレジデントGeorge Paoliniと同じレベルの人材だとWohlは述べている。PaoliniはSun在籍中、プログラム言語Javaの開発に大きく貢献した。
業界観測筋は、アプリケーションの専門家がSAPに移った背景には、高額な給与を期待できることのほかに、30代半ばにしてSAPの取締役会メンバーとなり、ソフトウェアの設計を率いることとなったShai Agassiの影響も大きかったと見ている。
Agassiは、SAPが2001年にソフトウェアメーカーのTopTierを買収した際にSAPに入社した。その後、同氏はSAPで最年少の取締役となった。AgassiはTopTierを創業し、率いてきた人物だ。
AgassiはSAPの提唱するEnterprise Services Architecture(ESA)戦略の指揮をとっている。これは、SAPの製品内部の技術仕様に、SAPのパートナー各社がアクセスできるようにするための取り組みである。SAPはESAを通して、自社の製品ラインを、サードパーティ製のソフトウェアやアドオンに対応するプラットフォームに変えていきたいと考えている。
AMR ResearchのアナリストBruce Richardsonによると、SAPは人材の確保を経営戦略に据えていると述べる。これは、ソフトウェア最大手のMicrosoftが何年も前に、ワシントン州レドモンドにある本社にデータベースの専門家を次々に雇い入れたのと同じ状況だという。Richardsonは、今週発表されるSAPの新しい幹部が誰なのかについて、予測を述べるのを差し控えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス