RSSの根底に流れるマーケティングのこころ--サイドフィード設立の背景 - (page 3)

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:藤本京子(編集部)
2005年10月19日 16時39分

--ビジネスとしてRSSを発展させて、広告で収益を得るのかと思っていましたが、そういうわけではないのですね。

 それはよく言われます。とにかくトラフィックを向上させて広告で収益をあげればいい、あるいはトラフィックが向上すれば事業として売れるなどと言われますが、私がやりたいこととは違うのです。やはり、企業に対して価値のあるものを作って、それを買ってもらうことがビジネスの基本だと思っています。そのため、個人のウェブサイトなどに対して無料で提供しているサービスは、実験の意味合いが強いですし、「便利なサービスを提供するかわりに、私のサービスを宣伝するメディア(個人のウェブサイトなど)として活躍してください」という意味もあります。個人メディアの力は大きいですからね。

--8月にベータ版を公開したRSSフィード.ccはすでに100社を超える申し込みがあったそうですね。10月19日から正式版とのことですが、当面はRSSフィード.ccが事業の柱となるのですか。

「RSSは単なる技術。これを使ってマーケティングツールを提供したい」と、マーケティングに対する思いを語る赤松氏

 はい。ただこれに関してはあまり大きな収益になるとは思っていません。RSSを配信するということ自体には、あまり大きな価値はないと考えています。意味があるのはどちらかというとアクセスログなどの解析の部分ですが、それもアクセス解析ツール市場で見るとこのサービスはそれほど大きなものではありません。

 私が考えているのは、ブログや口コミなどの個人メディアを活用して、どのような広告やプロモーションができるのか、その結果どれほどの価値が得られたのかを測定するツールを用意することです。いま市場にあるようなものではない特徴を持つSEO(検索エンジン最適化)やSEM(検索エンジンマーケティング)の効果測定ツールも、年内にはリリースしたいと思っています。

 これからのマーケティングは、メディアがサポートしなくてはならない部分と、そうでない部分に分かれてくると考えてます。個人メディアが発展しますから。やはり、ユーザーからの評価をダイレクトに受け止めてマーケティングしている企業はスピードが速いですよね。

--マーケティングに対するこだわりやおもしろさはどこにあるのでしょう。

 マーケティングは釣りなんです。漁船で大網を張り、タコでもイカでも何でもいいから釣り上げろというようなやり方では顧客満足度は得られません。インターネットで重要なことは、必要のない人には情報を届けないことなんです。必要のない人にいらないものを売りつけると、その時点で顧客との信頼関係が壊れてしまう。つまり、マーケティングの重要なところは、ターゲットにいかに直接的に届けるか、その反応をいかにダイレクトに受け止められるかです。それが、商品の改善にもつながるのです。

 サイボウズが成長した背景は、ちょうどインターネットが普及しつつある時期に登場し、インターネットに広告を出して情報感度の高い人だけにリーチでき、そこから情報が広まっていったおかげといえるでしょう。つまりマーケティングの勝利です。

 いい商品を提供するのに必要なのは直接マーケティングです。それが今、マーケティングするためのいい媒体がありません。それなら、マーケティングの枠を自分で作ってそこに情報を流すことで、必要な人には情報が流れ、必要でない人には情報が流れないような世界を構築していったほうがいいのではないかと思っています。それができれば、あとは自社で商品を開発して提供したいと思います。とは言ってますが、最終的に行き着く先はもしかするとサイボウズのような会社になるかもしれません。

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