2004年2月、Palm CEOのEd Colliganは、フランスのカンヌで開催された展示会「3GSM World Congress」で、自社ハンドヘルド端末「Treo」はWindowsベースのハンドヘルド端末より優れていると毎日のように主張していた。だが同じ週、にぎわう会場から少し離れたところで、Colliganは敵側と密会していた。
メイン会場から少し離れたところにあるComfort Innは、何の特徴もなく目立たないホテルだ。ここで、Colliganと複数のPalm幹部は、モバイル部門トップのPieter Knookが率いるMicrosoftチームと密会を持った。Palm陣営とMicrosoft陣営は別々のタクシーでホテルに到着し、ホテルの中にある会議室で数時間話し合いをした後、何もなかったかのように3GSMの会場に戻っていった。
この密会では、提携を結ぶとすればどのような条件になるのかが話し合われた。そしてこの会合を受けて、Palmオペレーティングシステム(OS)の開発者らは、かつては最大の脅威と見なしていたライバル企業陣営に加わることになった。
そして、時は2005年9月、ColliganとMicrosoftの話は公のものとなった。Colliganは米国時間26日、カンヌのComfort Innよりはるかに華やかなサンフランシスコのPalace Hotelで、Microsoftの会長Bill Gatesと同じステージに立ち、WindowsベースのTreoを発表する計画を明らかにした。
数年前なら、この2社の組み合わせは考えられなかっただろう。デスクトップPCの役割がポケットに入る端末に移行していた当時、Palmは、Microsoftをライバルと見なし、その独占的地位を脅かしていた。だが、一連のミスのためにPalmは実質的に弱体化し、世界最大のソフトウェアメーカーMicrosoftに歩み寄る以外に選択肢はなくなっていた。
Palmは、ハンドヘルド端末と携帯電話の両方で今後もPalm OSを採用すると主張しているが、自社の未来の大部分をかつては非難していたライバルに託すことになる。
この提携で、Palmは厳しい賭けに出ている。Palmは今回、一定レベルの携帯電話を動かすのにMicrosoftのOSがどのくらい優れているのかに賭けつつ、標準的な「Windows Mobile」ソフトウェアを超える製品を出すことでニッチ市場を開拓する余裕も残そうとしている。こうすることで、PalmはMicrosoftのためにハードウェアを組み立てる1社という運命に陥らないようにと願っているのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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