東芝は8月9日、経営方針説明会を開催した。6月に代表執行役社長に就任した西田厚聰氏は、同社の主力事業領域である「電子デバイス」「デジタルプロダクツ」「社会インフラ」の3つの中でも、特に成長が望める電子デバイスとデジタルプロダクツについて、2004年度から2007年度までの年間売上高伸張率(CAGR)の目標をそれぞれ8%、7%とし、2002年度から2004年度のCAGRであった1.3%および3.6%より大幅に向上させるとした。
電子デバイス部門において東芝の注力商品となるのは、NAND型フラッシュメモリ、ブロードバンドシステムLSI、SED(表面電界ディスプレイ)、有機EL、インプットディスプレイ、モバイル機器用燃料電池などだ。西田氏は、「電子デバイスは同社にとって最も成長する領域だ」と見ており、2005年度から2007年度における全社設備投資額1兆1000億円のうち、電子デバイス部門には65%を投資するとしている。
「映像の東芝」に向けた戦略を語る西田厚聰社長 |
この中でも半導体事業については、NAND 300mmなどの主力製品を中心に、全社投資額の50%を投入する。西田氏は、半導体事業の2004年度から2007年度のCAGRの目標を9%としており、同社が予測する同時期の半導体市場全体のCAGR 2%を大幅に上回る目標を立てている。特に同社の注力製品であるNAND、ブロードバンドシステムLSI、イメージセンサー、マルチメディア システム・オン・チップ、LCDドライバ、パワーデバイスの6製品においては、2007年度に向けたCAGRを20%と見込んでいる。
デジタルプロダクツ部門では、HD DVD、フラットパネルテレビ、ハードディスク、AVノートパソコン、第3世代携帯電話、デジタル複合機、POSシステムなどを注力商品としている。このうち東芝では、映像事業を将来の成長の柱のひとつとしており、2004年度から2007年度における映像事業のCAGRを10%以上としている。
西田氏は、「映像事業において市場でパラダイムシフトが起きている」と言う。「映像のデジタル化が進み、大容量情報を処理するため録画機器にHDDが搭載され始めている。また、インターネットの発展によるネットワーク化、薄型テレビの普及なども同時に進行している」と現状を説明した上で、「これまで機能別にスタンドアロンの機器として提供されていたものが融合されつつある。東芝の強みであるコンシューマーエレクトロニクス技術とPC技術の相乗効果を生かし、“映像の東芝”を実現する」と述べた。
「映像の東芝」を実現するための戦略として同社では、大容量HDD搭載AV機器や、2005年末に発売予定のSEDテレビとHD DVDプレーヤー、2006年春に発売予定のHD DVDレコーダーなど、「夢のある差異化商品」を提供すること、アライアンスを推進して成長のスピードを加速させ、リソースを確保すること、フラットパネルやストレージ、半導体など、同社の主力製品において垂直統合モデルを推進すること、映像事業の構造を見直し、コスト構造改革や販売体制の整備、製造拠点の最適化などを進めることなどを挙げている。
西田氏は、こうした成長分野への戦略を実行しつつ、2007年度の東芝の姿として、「売上高6兆6000億円、営業利益率4%以上を目指す」と述べた。しかし同氏は、「東芝は2000年以降に発表している中期目標は一度も達成できていない」と述べ「今回は必ず約束できる数字を出した。社内的にはこれよりもずっと高い数字を目標としている」とした。
なお、東芝は同日、HDD&DVDレコーダー「RD-X5」の一部において、録画可能時間が600GBとなっているにも関わらず、500GBしか録画ができなくなる不具合を確認したと発表している。同機に搭載されたHDD制御用ソフトウェアが原因。東芝では修正ソフトウェアを作成し、8月末にも顧客への対応を開始するとしている。
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