ビル・ゲイツ氏来日--まずは東芝と握手でHD DVDなど協業関係強化を発表

藤本京子(CNET Japan編集部)2005年06月27日 20時35分

 米Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏が来日した。来日最初の記者会見は、6月27日夕刻に開かれた同社と東芝との共同会見で、両社の協業関係を強化するというものだった。

 Microsoftと東芝は、これまでの協業関係を強化し、Microsoftの持つソフトウェアおよびPCの関連技術と、東芝の持つデジタル家電およびPCの関連技術を相互に持ちより、デジタル家電やPCの開発と普及のために協業を強化すると発表した。

 東芝 取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏は、まずデジタル家電分野の協業強化について、「東芝の技術とMicrosoftのWindows CE技術を基に、東芝のHD DVD機器の開発を両社で具体的に検討する」とした。Microsoftのゲイツ氏は、「HD DVDにWindows CEを搭載し、どう使いやすくするか、どのようにPCとの連携を向上させるかを検討したい」と述べた。また、DVDフォーラムの最新インタラクティブ機能仕様であるiHDに関しても、今後さらに協調を進め、開発を加速することで合意したとしている。

Microsoft 会長のビル・ゲイツ氏(左)と、東芝 取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏(右)

 PC分野では、Microsoftの次世代OSであるLonghornを搭載したモバイルPCの開発と市場投入に向けて協力する。両社の関係は、東芝が世界最初のノートPCを開発した20年前より続いており、「プラグアンドプレイの実現やPC上でのDVD再生仕様なども、両社のパートナーシップが大きく貢献した」と西田氏は述べている。同氏は、「東芝のハードウェア技術とMicrosoftのOS技術で画期的なモバイルPCを共同開発することで、PCの利用シーンを拡充し、市場拡大をめざす」とした。

 Microsoftと東芝は、4月下旬に両社が持つ特許を相互利用するというクロスライセンス契約を結んでいる。今回の協業強化にはこの件も含まれており、西田氏は「クロスライセンス契約を積極的に利用し、コスト削減と開発期間の短縮に努める」としている。

 HD DVDの共同開発を表明したMicrosoftだが、記者からは、将来的に同社がBlu-ray陣営と協業することはありえるのかという質問が出た。この点についてゲイツ氏は、「フォーマットに関しては中立的な立場を取っているが、今は東芝との協業でWindows CEベースのHD DVDの実現に向けて多くの時間を費やしているところだ」と述べるにとどまった。

 また、ソニーがPlayStation3にBlu-rayディスクを搭載すると発表しているが、次世代XboxにHD DVDを搭載する予定はあるのかとの問いには、「次世代機のXbox 360は今年中に出荷されるが、最初の360では現在のDVDフォーマットを採用する。将来的にHD DVDか他のフォーマットを採用するかについては検討中だ」(ゲイツ氏)とした。

 東芝は、Blu-rayとHD DVDの規格統一に向けてソニー交渉を行っているとされているが、今回の協業が規格統一の動きに影響を与えることはないのだろうか。西田氏は、「規格統一には時間がかかる」とした上で、「統一が実現できればできた方がいいというスタンスは変わらない。ただ、Windows CEベースのHD DVD開発は、HD DVD側にとって大きな意味を持つ。これを商品化できればいいと考えている」と述べた。

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