ヤフーとゼイヴェルは8月4日、資本・事業提携してF1層(20歳〜34歳の女性)をターゲットとしたPC向けECサイト「ファッションウォーカー」を共同で展開することについて合意した。
ゼイヴェルは、2000年4月より六本木において社員3名(現在はグループ全体で215人)で事業を開始した。2000年6月より、日本初の携帯電話向け女性ポータルサイト「ガールズウォーカードットコム」を開設し、日本で初めてモバイルコマース(携帯ショッピング)に挑戦したことで有名だ。2005年6月末時点で1日あたりのアクセスは約9100万ページビュー、月間では平均約28億2100万ページビューある。全体のユニーク登録ユーザーは約915万人で、このうち81%にあたる約740万人が女性だ。オンラインだけではなく、ファッションショーを年に約8回開催するなどリアルにも展開している。
また、グループ会社のメディアマトリックスが運営する携帯オークション事業「ガールズオークション」は、6月末時点で登録会員数173万人、月間流通総額54億円に達している。
今回の資本・業務提携でヤフーは、ゼイヴェル関連会社であるアンプレッションの議決権数(潜在株式を含む)の33.52%(10数億円)を、第三者割当増資の引き受けや既発行株式の譲受、新株予約権の引き受けなどを合わせて取得する。アンプレッションは、商号を「ファッションウォーカー」に変更して、ゼイヴェルが展開するモバイルコマースサイト「ファッションウォーカー」のPC版を展開し、資本金は4億6250万円になる予定だ。代表者はゼイヴェルの代表取締役社長である大浜史太郎氏が務め、ヤフーショッピング事業部事業部長の松本真尚氏が役員に就任する。
松本氏(左)と大浜氏(右)は昔から知り合いで、松本氏もモバイル事業の経験が長い。 |
ゼイヴェルの大浜氏は提携について「ガールズウォーカードットコムは10代後半から20代の女性が中心に利用しているが、ほとんどの人がPCを利用していない。しかし、今後この層の年齢が上がればPCに接触する機会が増えるため、この層がそっくりPCを中心に利用するようになる可能性が高い。そうなったときにも利用し続けてもらえるように、ヤフーとの提携を決めた」と説明した。具体的には、ガールズオークションとファッションウォーカーが、ヤフーオークションとヤフーショッピングにそれぞれ出店する。利用する際のユーザーIDについては、ヤフー、ガールズオークションとファッションウォーカーで現在はそれぞれ利用されているが、シングルサインオンや統合など、IDの資産が有効に活用され、ユーザーが不便に感じないような仕組みを検討している。
これに対してヤフーは、ファッションウォーカーに決済やIDなどのシステムインフラや広告ネットワークなどバックエンドの仕組みを提供する。ヤフーの松本氏は「ヤフーショッピングでは女性層の獲得や若年層がリードするモバイルコマースへの対応を強化しており、今回の提携でより一層進展する」と述べた。ヤフーは、ショッピングへの誘導としてバリューコマースと資本・事業提携し、6月からアフィリエイトを活用している。また、モバイル版ヤフーショッピングを7月から始めたが、さらに2005年11月をめどにインデックス、コネクトテクノロジーズとモバイルコマース専業の合弁会社を設立する予定だ(関連記事)。
今後の展開について、大浜氏は「ファッション、コスメティック市場は15兆〜16兆円規模と言われ、数年後にはこの数%を占めたい」と抱負を述べた。ゼイヴェルの物販売り上げは、前期で50億円、今期70億円となっている。さらに、「これまでオンライン販売にあまり大手ブランドメーカーは興味を示してこなかったが、ここにきてかなり変化が見られる。そのため顧客ニーズの高い大手のブランドをすべて扱うことができなかったが、今後はそうした商品も揃えられるだろう」と述べた。現在は187メーカー、210ブランドを扱っているが、これを数年で500メーカー、1000ブランドに増やす見通しだ。
こうした一方で、松本氏は楽天市場の取引情報が漏洩した事件にも触れ、ヤフー内部の個人情報の管理について説明した。松本氏は「ISMS(Information Security Management System)をグループ全社で取得しており、個人情報にアクセスする場所にはガードマンがいる。場合によっては金属探知機を使って調べる」とセキュリティの厳格さを訴えた。また、「個人情報の閲覧は1件ずつしか閲覧できず、一度に100件を見るということはできない」とした。今回のゼイヴェルとの提携では、購買の取引情報はファッションウォーカー1社でのみ管理する。
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