テロ対策ツールの開発促進を意図した連邦法がIT企業に利用されていないと、米国土安全保障省(DHS)が不満を漏らしている。
2001年9月11日の同時多発テロ事件後に制定された同連邦法では、米政府公認の企業は、仮に同社のテロ対策製品が役立たなかったり、使い物にならなかったりしても民事訴訟を免れると定められている。しかしDHSが米国時間1日に明らかにしたところによると、そのような承認を受けたサービス/製品はわずか17件に過ぎず、その中にIT関連のものは含まれていないという。
DHSのMichael Chertoff長官は7月28日、カリフォルニア州サンタクララのCommonwealth Clubが主催したイベントで、「ハイテクから享受し得る全ての恩恵を把握するために、われわれはDHSの壁を越えて、民間部門や、ここSilicon Valleyのような場所にあるハイテクの世界に目を向ける必要がある」と述べ、さらに「技術革新によって世界各国の距離を大幅に短縮した人々が、今度は世界の安全性の大幅な向上に貢献してくれることを期待している」と語った。
「効果的技術の養成によるテロ対策支援法(Support Anti-Terrorism by Fostering Effective Technologies Act of 2002:SAFETY)」と呼ばれる同連邦法は、政府公認の企業が開発したテロ対策製品が、実際にテロ攻撃を受けた際に本来の機能を発揮しないなど、役に立たなかった場合でも、その企業は法的責任を問われないと定めている。企業がその公認企業リストに掲載されるためには、まず二段階の申請プロセスを経なくてはならない。
DHSによると、同省はすでに17の製品/サービスについて、SAFETYが定める最高水準の法的責任免除を認めており、その免除期間は5年間だという。同省は2004年6月に最初の4件の承認を行ったが、その後、2005年2月まで公認リストに追加された製品/サービスは1件もなかった。
DHSの広報担当Donald Tigheが1日に明らかにしたところによると、同省は2003年10月から現在までに受領した申請の総件数は、事前申請が222件で、二段階目の申請が112件だという。
Chertoffは発言の中で、新設されたCyber and Telecommunications Security(サイバー/通信の安全)担当次官補は、政府とハイテク企業との連携強化も担当することになると語った。
これまでのところ、ITセキュリティと関連性の高いサービスは承認を受けていない。最近、リストに掲載された技術は、港で使用する貨物専用コンテナの検査システムだ。その他の技術の多くは、Northrop GrummanやLockheed Martinといった大手防衛請負業者が開発した生物/化学物質検出ツールなどだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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