英国の警察本部長/副本部長らで構成される英国警察長協会(ACPO)が同国政府に対し、テロリスト関連のウェブサイトを攻撃できる権限を警察に与えるよう要求している。
今月、英国の首都ロンドンで同時爆破テロが発生したのを受け、同国政府によるテロ対策関連法の再検討が行なわれるなか、ACPOはテロ対策に関する提案リストを議会に提出した。
この提案によると、暗号化キーを公開しなかったり、インターネットを使ってテロ活動を促進すると犯罪となる。
ACPO Terrorism and Allied Matters Committee(テロおよび関連事項対策委員会)のKen Jones委員長は先週発表した声明の中で、「現在、国際テロリズムの脅威が日に日に高まっていることを考えると、その脅威に対抗する任務に当たっている人々に、彼らが職務を遂行する上で必要な道具や手段を与える必要がある。一般大衆を守るため、テロ活動に従事する者たち(の活動)に初期段階に介入し、阻止する必要があるケースが多い。われわれの法案が、そのような破壊的活動の重要性を反映した内容でなければならないのは言うまでもない」と語った。
この提案リストには、警察がいかにウェブサイトを攻撃するかという具体的な方法は記されていないが、外部からウェブサーバを使用不能にする際には、サービス拒否(denial-of-service:DoS)攻撃が行なわれるケースが多い。DoS攻撃とは、サーバに大量のデータを送信してサーバを使用不能にするもの。
この方策は、児童虐待に関する画像がウェブ上で拡散するのを警察が阻止する上でも役立つとACPOは主張する。ACPOは提案書の中で、「この(ウェブサイトを攻撃できる)権限はテロ対策に極めて有効であるばかりでなく、過激主義や小児性愛といった警察が優先的に取り組むべきその他の問題の対策にもなる」とし、さらに「この問題は国境を越えた問題であり、緊密な国際協調が必要だ。適切な権限と保証が必要不可欠である」と述べている。
これに対し、元警察官で、現在コンピュータ科学捜査に従事する人物が、サイバー攻撃の合法化の国際的影響について懸念を表明した。Ibasの国際事業担当マネジャー、Simon Janesは、「(警察にサイバー攻撃を行なう権限を与えるということは)何らかの捜査を行なうために別の国の領土に警察官をパラシュートで降下させるのと何ら変らない。それには国際的同意が必要となるはずだが、私にはその同意を回避する方法は思いつかない。攻撃の対象が他国政府のウェブサイトだったら一体どうするのか、という問題が当然浮上する」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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