Bush大統領は米国時間13日、テクノロジー分野に関してワシントンで最も強い影響力を持つ弁護士の1人といわれるStewart Bakerを、国土安全保障省の政策局次官補に指名したと発表した。
Bakerは上院での承認を経て新しいポストに就くことになるが、就任後にはデータマイニングから、はるか先までの想定される事態に備えたシナリオ作りまで、国家の安全保障に関する政策立案を任される重要な職務を担当することになる。またテロリストの米国内への入国を阻止する国家戦略を構築したり、効率改善に向けて既存の政府機関を評価することなども任務の一部になると思われる。
今回の指名は、国土安全保障省(DHS)長官のMichael Chertoffが同日に発表した同省の全面的な再編成の一環として行われた。「議会のメンバーや(DHS前長官の)Tom Ridge、さらに数多くの外部の専門家がDHS政策局の設立を提案してきた。今こそこれを実現するチャンスだ」とChertoffは述べている。
Bakerは現在、多数の技術系企業をクライアントに抱える法律事務所、Steptoe & Johnsonのパートナーの職にある。ここ15年間のプライバシーをめぐる多くの議論において、同氏は重要だが何かと物議をかもしてきた常連ともいえる存在だ。
Bakerは1990年代前半に、多くの「シビル・リバータリアン(市民的自由の擁護者:civil livertarian)から災いの元扱いされている国家安全保障局(NSA)の法律顧問を務めた。当時、NSAは暗号化製品の輸出を規制する厄介な手段とみなされていた「Clipper Chip」という暗号用チップや、警察が解読できるように暗号化システムにバックドアをつけることを促す「キー・エスクロー(鍵供託システム)」規制の擁護を熱心に進めていた。
Wired Magazineの1994年6月号に掲載された有名な記事で、Bakerはバックドアのない強力かつ安全な暗号化製品が簡単に手に入ることに警告を発した。「PGPの早期採用者の1人はカリフォルニア州サンタクララの小児性愛者だった」とBakerは記事のなかで暴露した。「その男は、全米各地のBBSを利用していた多感な少年たちとのやりとりを綴った日記を含むと警察が疑ったファイルを暗号化するのに、PGPを使っていた」(Baker)
上院が2001年9月に後に「愛国者法(Patriot Act)」となる法律を採決した際に、Bakerはプライバシー擁護者の反応は過剰だと述べた。「確かにプライバシー法を改善するいくつかの機会を見逃すことになるかもしれないが、プライバシーの保護が完全に崩壊したとは言えない」(Baker)
プライバシー擁護者がBakerを気に入らないのはこの種の声明のためであり、13日の指名のニュースを聞いて、彼らががっかりしたのも当然のことだった。「シビル・リバータリアンにとって、これは厄介は任命となるかもしれない」とElectronic Privacy Information Centerのディレクター、Marc Rotenbergは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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