新規に交付されるEパスポートで採用する技術をとりまとめている米国務省は、パスポートのセキュリティを確保するため、Entrust製のツールを利用する決定を下した。
今回の契約に基づき、Entrustは米国政府に、Eパスポート発行計画の要となるコンポーネントを納入する。Entrustが米国時間18日に発表したところによると、米政府はEntrustのソフトウェアを使って、Eパスポートに組み込まれるチップ内の情報にデジタル署名を施す予定だという。米国政府は、Eパスポートの年内発行を目指している。
Entrustは声明のなかで「このシステムで採用されたプロセスと技術によって、国家の安全保障が強化されるだけでなく、出入国管理や本人確認をより効率的かつ安全に行うための基盤が確立されるだろう」と述べた。
Entrustの幹部は、契約額や競合した企業の名前について言及しなかった。18日の発表を受け、同社の株価は31セント(8%)上昇した。
米国務省は、まず政府職員用パスポート向けにEパスポートを発行する予定だ。Eパスポートは、ハイテク技術を用いて偽造や盗難を防止する仕組みになっている。パスポートにはチップが埋め込まれており、そこには、氏名/生年月日/出身地/デジタル写真など、パスポート所有者に関する情報が格納される。これらの情報を用いて、入国審査官は、パスポートが正規に発行されたものかを迅速に調べられる。
チップに格納された個人情報は、特殊なリーダーに無線信号として送信される。そのため、一部のプライバシー擁護団体は、Eパスポート導入に反対している。これらの団体は、この特殊なリーダーを入手した人間が、攻撃や監視の対象とするアメリカ人を選別するために、人混みのなかで無線信号を受信しようとするかもしれないと懸念する。
米政府は、2001年9月11日の同時多発テロ事件が発生して以来、国家安全保障の強化を目的とした施策をいくつか打ち出している。同政府は、それらの施策の一部であるEパスポートプロジェクトが、プライバシー問題により変更されることはないとしている。米国務省は2004年、ロサンゼルス旅券発給局が発行するパスポートを手始めに、2005年には100万部以上のEパスポートを発行する計画だと発表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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