スポンサードサーチがリアル店舗の集客にも影響
続いてスパグノレット氏は、Overtureのスポンサードサーチを利用する際のポイントを解説した。スポンサードサーチには、キーワードの設定、タイトルや説明内容の作成、入札金額や価格の設定という3つの要素があり、これらを全て最適化することが重要だという。
また、有料で米Yahoo!の検索データベースに登録できる「Site Match」や、パートナーサイトのコンテンツに合わせて関連性の高い広告を出す「コンテンツマッチ」を活用して相乗効果を出すことで、ユーザーにリーチできる確率はさらに高くなる。つまり、通常の検索結果とスポンサー広告の両方に表示されることで、クリックレートの向上と信頼性の確立に結びつくというわけだ。
スパグノレット氏は、検索マーケティング市場での同社の優位性について、「高いスキルを持ったエディターチームが、関連性の低い検索キーワードを排除したり、適正な広告タイトルや紹介文を付け加えたりしている。こうした作業が、効果的にユーザーを広告に導くことになる」と語る。また、OvertureはYahoo!以外にもMSNをはじめとする多数のポータルと提携しているため、「米国では80%以上、日本では89%のユーザーにリーチできる環境が整う」と強調した。
また、検索マーケティングはバーチャルの世界でのみ存在するものだと捉えられがちだが、スパグノレット氏は「使い方によってはエリアマーケティングも可能になる」と強調した。これは、「東京」「音楽」と検索したユーザーに対してリアル店舗の広告を表示すれば、潜在的な顧客にアピールできるためだ。さらに、「Yahoo!地図情報」などのサービスと連携すれば、より確実にリアル店舗への誘導が実現する。
ユーザーの購買サイクルやターゲティングが重要に
スパグノレット氏は、スポンサードサーチを活用する上での注意点についても解説した。同氏によると、幅広いキーワードを選択しても効果的な導線となるのは2割であるため、その2割のキーワードを基にして、類似ワードをさまざまに派生させるのが効果的だという。Overtureでは、このキーワードの発見を支援するためのキーワードアドバイスツールを用意している。同ツールには、入力したキーワードに関連したキーワードが表示されるので、自らバリエーションを考える作業が簡略化できる。
また、スポンサードサーチの効果を上げるには、ユーザーの購買サイクルを加味したキーワード選択が重要になる。これは「カテゴリの発見」「製品の研究」「製品の比較検討」「実際の購入」のどの段階をターゲットにするかで、製品カテゴリを示す幅広いキーワードを使うか、メーカー名や製品名を使うが変わってくるためだ。さらに、こうしたターゲティング広告を出稿した後に、「配送料無料」「特別ポイント付加」などの独自性を打ち出すことが必要だとしている。
スパグノレット氏は、このほかにも「説明文に雑誌やウェブの記事のような精度の高い情報を載せることや、タイトルと説明文の両方にキーワードを入れることで信頼性が高まり、クリックレートが向上する。また、ユーザーが検索結果を見るのは5秒程度に過ぎないため、誰にでもわかりやすい情報を入れておく。さらに、1つのキーワードに高額投資するのではなく、平均的なコンバージョンを見て1製品あたりの利益を計算しながら投資するキーワードを決める」など、スポンサードサーチの利用における重要ポイントを説明した。
スパグノレット氏は最後に、検索マーケティングの未来とOvertureのビジネスについて説明した。今後しばらく同社は現在のスタンスを継続し、テキストマイニングやユーザーの行動に基づいたターゲティング、会員をベースした特定ユーザーへのアプローチなどによって、ニーズに合った関連性の高い広告を提供できるよう努めるという。
また、携帯電話へのスポンサードサーチの表示や、ユーザーの細分化など、高いキャンペーン効果を出すための機能強化を実施する。このほか、企業側のユーザーインターフェースを改善するための施策や、キーワードべースでどの程度のユーザーを獲得できたかという効果測定機能の提供、またどのキーワードが利益をあげているかを比較できるようにするなど、システムの強化を図っていく。スパグノレット氏は「予算とビジネス目標に合わせてスポンサードサーチを最適化することで、ユーザーにとっての有益性の向上と、広告主にとっての利益の最大化が実現できる」と語り、講演を締めくくった。
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