Microsoftは、低価格版のWindowsを発売することで、世界の隅々にまでWindowsを広めようとしている。しかし、アナリストの一部は、その効果に懐疑的である。
Microsoftは今週、「Windows XP Starter Edition」のスペイン語版を発売した。スペイン語版を発売したことにより、同社は、新興市場向けに提供しているこのオペレーティングシステム(OS)で、6つの言語をサポートすることになった。
しかし、同OSについて、発展途上国や現地の人々のニーズを完全に満たすだけの柔軟性が依然備わっていないとの批判の声が上がっている。
Microsoftは、Starter Editionを他のWindows XPと比べて非常に低い価格で提供している。同社では、この取り組みが既存のビジネスに影響を与えないようにするため、Starter Editionにいくつかの制限を設けている。例えば、同OSでは同時に表示できるウィンドウの数が3つまでとなっている。
「PCをこれまでに使った経験があるユーザーならば、Starter Editionで設けられている制限について、すぐに不自由を感じるだろう」とGartnerのアナリストMichael Silverは述べる。
この点を突き詰めて考えていくと、Windows XP Starter Editionを理解する上で最も難しい問題の1つに行き着くことになる。その問題とは「(同OSは)どのような顧客を対象としているか」というものだ。Microsoftがこの点を明確にし、ブラジルやインド、ロシアなどの発展途上国でのPC使用率を向上させることに成功すれば、PCユーザー10億人を獲得するという同社の目標も現実的なものになってくる。
Microsoftは、低価格版の同OSはあくまでも、一度もWindowsに触ったことのないコンピュータ初心者向けだと述べる。そのため、同社では、印刷方法やマウスの使用方法などのPC操作の基本を各国の言語で説明する動画などの制作に開発リソースの大部分を注いできた。
「こうした作業こそが、Windows XP Starter Editionの取り組みの要になる」とMicrosoftのWindows担当プロダクトマネージャMike Wickstrandは述べる。「この作業に最も多くのリソースを投入した」(Wickstrand)
しかし、専門家によると、コンピュータ(仮にStarter Edition搭載機であったとしても)を発展途上国で購買できるのは、中間所得層であり、業務でPCを頻繁に使用している人々だという。このような顧客は、コンピュータに比較的詳しく、制限付きの製品を購入するとは考え難い。Gartnerは2004年に発表した調査結果のなかで、Starter Editionはさまざまな可能性を秘めているものの、こうした欠点が克服されない限り、発展途上国市場に大きな影響を及ぼすことはないと述べている。
「主要PCメーカーの採用計画を見ても分かるように、Starter Editionの販売により、Microsoftが発展途上国市場で何かを得るとは考えにくい」とGartnerのアナリストDion WigginsとMartin Gillilandは、2004年10月に発表した調査レポートで述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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