Googleは先週、ウェブページの配信を高速化する新しいアプリケーションを公開したが、批判的な立場の人たちはさっそくその本当の狙いやプライバシーの侵害、セキュリティ関連の不手際を探し始めた。これは、Gmailやデスクトップ検索など、同社がこれまでに発表したツールでも同じようなことあった。
これらのうち、いくつかは予想されていたものだった。誰かが成功を収め、強力になればなるほど、周囲の目は厳しくなり、陰謀説も浮上してくる。以下では、Web Acceleratorに関するいくつかの事実を紹介する。
Web Acceleratorとはどんなものか?どんなことに役立つのか?
ブロードバンド回線でネットに接続しており、さらにアクセス速度を上げたい場合は、 Web Acceleratorが役に立つかもしれない。Googleのウェブサイトから無料でダウンロードできるこのソフトウェアは、Googleのサーバにキャッシュされた、もしくは圧縮されたサイトのコピーを表示することで、ウェブページへのアクセスを高速化するよう考えられている。同社によると、インターネットのヘビーユーザーの場合、同ツールを利用することで、ブラウザの利用時間を1カ月に2〜3時間短縮できるという。
Web Acceleratorの動作の仕組みは?
Googleのウェブ製品ディレクターMarissa Mayerによると、同社はWeb Acceleratorを開発するにあたり、マウスの動きに関する研究を参考にしたという。その結果を元に、同社はユーザーが概してどのリンクに移動し、どのリンクをクリックしているかを監視するアルゴリズムを開発した。Googleは、このアルゴリズムを利用しながら、ユーザーがクリックする可能性の高いページを先読み/保存するというやり方で、ウェブページへのアクセスを高速化している。
Googleは、リクエストされたウェブページのコピーをキャッシュするほか、人気の高い一部のページについては、ユーザーのコンピュータにあらかじめキャッシュしておき、ページの読み込み速度を上げている。また、場合によっては、ページを2〜3分の1程度に圧縮した上で配信することもある。
「ブロードバンドと同じように、こちらもまだ本来の速度を出せていない。われわれのほうでもウェブアクセスの高速化に務めるので、Googleをプロキシとして使ってほしい」(Mayer)
Web Acceleratorはダイヤルアップ回線ユーザーにとって最適な技術ではないのか?
必ずしもそうとは限らない。専門家によると、優れたウェブアクセス高速化ツールは、ページ情報がルータ間で送信されるときのパケットロス、つまり待ち時間を減らせるという。また、こうしたツールはグラフィックの多いウェブサイトの圧縮や、配信手法についても最適化できるという。
Web Acceleratorにセキュリティ上の欠陥はないのか?ユーザーへの影響は?
欠陥はある。Googleは先週、複数の人々が欠陥を発見したことを受け、このベータソフトウェアに脆弱性があることを認めた。
このソフトウェアは、非公開のディスカッショングループやパスワード保護されたページのキャッシュをユーザーに提供する場合がある。たとえば、ネットユーザーが同ソフトを使ってディスカッショングループのページを表示した場合、グループのほかのメンバーの名前が表示されて、あたかもそのユーザーとしてグループに入ってきたかのように見えることがある。
GoogleのMayerによると、同社ではこの問題の修正に取り組んでいるが、影響を受けたのは規模の小さなディスカッショングループサイトだけだという。Googleは、脆弱なウェブページをキャッシュするメカニズムを無効にしており、また数学的なアルゴリズムを使ってこれらのページがキャッシュされないようにすることが可能かどうかを調査している。
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