ベンチャーキャピタル各社はいつまでVoIP業界に熱い視線を注ぎ続けるのだろうか。
米ニュージャージー州に本社を構えるVoIPサービスプロバイダのVonageが米国時間3日、新たに2億ドルの資金を調達したと発表したことを受けて、このような疑問が浮上した。ベンチャー投資家らは今もVoIP関連企業への投資を続けている。VoIPとは、無償ソフトウェアなどを利用してインターネット上での通話を実現する技術。
Vongageによると、同社が今回調達した金額は、一度に受ける投資額としては2000年以来、最大の規模だという。
だが、VoIP業界が過去4年間で調達した資金の総額はすでに16億ドルに達しており、業界内部ではベンチャーキャピタル各社が次の投資対象としてそろそろ他の分野に興味を持ち始めるのではないかと、懸念の声が上がっている。
ベンチャーキャピタル業界向けウェブサイトTheDealで、Joshua Jaffeeは、「今からVoIPに関わろうと考える起業家やベンチャーキャピタリストが、ミスを回避するタイミングとしては今が良い時期だろう」と記している。
だが、VoIP業界に対する投資は続いている。米マサチューセッツ州ボストンに本社を置くBain Capitalを筆頭とする新たな出資を受け、Vonageがこれまでに調達した資金の総額は倍増した。Vonageの最高財務責任者(CFO)John Regoによると、調達した資金はアジアでの事業展開のほか、米国市場におけるブランド力向上に向けた広告活動にも利用される計画だという。引き続き、CEOのJeff Citronが同社株式の過半数を保有する。
SunRocketのように、Vonageほど知名度の高くないVoIP企業ですら、ベンチャーキャピタルから資金を調達することは簡単だと感じているようだ。ヴァージニア州ヴィエナに本社を置くSunRocketは、6月までに新たに1500万ドルの資金を調達する計画という。
「VoIPは、従来の電話サービスの代替として多くのユーザーに受け入れられ、ティッピングポイントを迎えたと考えられる」とBain CapitalのマネージングディレクターMichael Krupkaは声明の中で述べている。
ベンチャーキャピタル各社のVoIP熱が冷めた場合、SunRocketをはじめとする小規模なVoIPサービス事業者は影響を受けるだろう。いまや主要ケーブルプロバイダやAmerica OnlineなどのISPもVoIP市場に参入している。そのため、加入者も少なく、手持ちの現金も限られている小規模なVoIP事業者各社は、立場が弱くなっている。
「今は、通信業界に押し寄せる次の波の、まだほんの始まりの段階に過ぎない」とVonageのRegoは述べる。「だが、新興企業がこれだけの額の投資を受けるのは、かなり難しくなっている」(Rego)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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