Juniper Networksは米国時間29日、Kagoor Networksという新興企業を6750万ドルの現金で買収する計画を発表した。同社はこれにより通信事業者向けの製品ポートフォリオ拡充を図る。
ネットワーク機器最大手のCisco Systemsに対抗するJuniperでは、Kagoor買収で得た技術を使って、電話システムの構築に従来の電話技術ではなくIPベースの技術を利用しようと考える電話会社に、Kagoorの通信機器を販売することになる。
KagoorのVoiceFlow製品は、セッション・ボーダ・コントローラ(Session Border Controller:SBC)として知られる新しいカテゴリの技術に分類される。この装置は、電話会社が音声トラフィックを従来のシステムから、VoIPソフトを使った新しいネットワークへと移行するにつれて、次世代通信ネットワークの実現に不可欠な要素になると見られている。このIPネットワークへの移行により、Verizon CommunicationsやSBC Communicationsのような通信キャリアは自社のネットワークを統合し、電子メール、ウェブ、音声通話など、すべてのトラフィックを1本のネットワーク回線で処理できるようになる。
だが、音声トラフィックをIPベースのネットワークに移行すれば問題が生じる場合もある。たとえば、ウイルスやワームから企業ネットワークを守るファイアウォールは、音声処理のプロトコルを認識できない。その結果、ファイアウォールは外部ネットワークから受信したVoIPトラフィックを社内ネットワークへ流すことができない。
また、VoIPのトラフィックは、NAT(Network Address Translation)を使ってIPアドレスの数を節約している企業にとってやっかいな存在だ。NATとは、外部向けには1つのアドレスを用いることで、企業の保有するIPアドレスを節約する仕組みで、この方法を使えば企業内のすべてのコンピュータが個別のIPアドレスを持たなくてもデータを受け取れるようになる。ただし、このようなシステムは一般的にVoIPの通話をどのようにルーティングさせるかを判断することができない。
SBC機器は、現在KagoorやAcme Packet、Jasomi Networks、Netrake、NexTone Communications、Sonus Networksなどが開発しているが、こうした機器を導入すれば、上記の問題は解決される。SBCは電話会社のネットワーク内に配置され、企業ユーザーとサービスプロバイダとの間でIPトラフィックの受け渡しの管理を行い、ファイアウォールやNATが使えるようにする。SBCはまた、異なるサービスプロバイダ間でのIPトラフィックの処理にも使われている。
Kagoorの製品は、全世界で100社以上の通信事業者が導入しており、その多くはJuniper製のIPルータを利用していると、Juniperでは説明している。両社はまた、Lucent Technologies、Siemens、NECといった複数の戦略パートナーを抱えている。昨年、LucentはKagoorの製品の再販を始めており、Siemensではベンチャーキャピタル投資で4000万ドルの資本をKagoorに提供している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス