サンフランシスコ発--Morgan Stanleyの金融アナリスト、Mary Meekerによると、オンライン広告業界には明るい未来が待ち受けているが、これを支えるのは新しいツール類やターゲット広告になるという。
Meekerは米国時間25日、当地で開幕した業界カンファレンス「Ad:Tech05」で基調講演を行ったが、そのなかで同氏は「インターネット広告への支出は増加する以外はないと見ている」と述べた。同氏はさらに、ウェブはいまのところ最も活用が進んでいない広告メディアであり、米国におけるオンライン広告への支出は、広告費全体の3%を占めるに過ぎないとする推定もあると付け加えた。
だが、eBayを基準として見たとき、最も成功を収めている企業は現在進行中のオンラインへのシフトから恩恵を享受できると同氏は述べた。eBayのビジネスは、結局のところ買い手と売り手を結びつけることであって、検索広告大手のGoogleもその点では変わらない。Meekerによると、eBayは現在各種の3行広告市場で全体の62%を占めているという。
eBayとGoogleは、両社とも「ユーザーエクスペリエンスを向上させ、また各々の生態系がもつ成長に対応するための能力を高める」ことに注力しているとMeekerは述べ、さらに今後のビジネス拡大の鍵を握るものとして、ユーザーの利用を促進する新しいツール類やターゲット広告を挙げた。
Meekerはインターネット関連株式に影響力を持つアナリストで、ドットコムバブル崩壊の後には、かつて楽観的なレポートを作成していたことで、投資家から非難を受けたこともある。同氏は、27日まで開催されるAd:Tech05カンファレンスの目玉となる講演者だが、参加者の注目はGoogleとYahooが支配する数十億ドル規模の検索広告ビジネスに集まっている。また、ブランド広告主が引き続きウェブに高い関心を示していることから、ディスプレイ広告に対する関係者の自信も増してきている。オンライン広告市場は今年、売上が90億ドルに達し、昨年の約80億ドルからほぼ10億ドルの増加となる見込みだ。
Meekerは、検索広告とディスプレイ広告の融合例として、Googleの新サービスであるビデオ検索を挙げた。同氏によると、将来ユーザーはこのサービスを利用して、全米オープンでのTiger Woodsのウィニングショットのビデオクリップなどを検索できるようになるという。そして、コンテンツ保有者が認めれば、GoogleはPayPalの決済ツールと組み合わせて、1回のビデオ再生につき1ドルを課金するようなことも考えられるという。この場合、ユーザーはそのビデオクリップの前に短い広告を見ることをいとわないだろう、とMeekerは指摘した。
Yahooのビデオ広告は、すでに前途有望な兆候が見えている。Meekerによると、Yahooは昨年第4四半期に9億1700万回のストリーミング配信を行っており、このうち10%はビデオ広告付きだったという。
「この先ビデオ広告の比率は50%に達し、広告効果もかなり高くなると思う」と同氏は付け加えた。
同氏によれば、業界が非常に速いスピードで成長している時や、企業の市場におけるリーチが25%から50%になろうという時には、それらの企業は大きな売上を稼げる立場にいることになるという。Morgan Stanleyでは、ブロードバンドが2011年までに全世帯の50%に浸透すると予測しており、デジタル広告はこのスイートスポットを付くことになると同氏は述べた。また携帯電話もますます重要になっていると同氏は強調した。
「全世界ですでに9億人の携帯電話利用者がいる」(Meeker)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス