米国時間22日に、複数の消費者団体がPtoPネットワークは消費者の利益になるとする調査結果を発表し、ファイル交換サービスを相手に法廷闘争を続けるエンターテインメント業界に猛攻撃を開始した。
およそ80ページにおよぶこの文書には、消費者がオンライン音楽配信を利用するメリットについての説明や、政治演説へのPtoP技術の利用方法が書かれ、さらに消費者行動を説明するための手段として、1990年代末に各レコード会社が取った「競争を阻害する」行動が記されている。
今回の調査を指揮したアメリカ消費者連合(CFA)のリサーチディレクター、Mark Cooperは、「レコード会社や映画会社は、この問題をプライバシーや窃盗に関する議論にしようとした」と述べた上で、「しかし実際にはそうではない。これは(技術の)発展と表現の自由の問題だ」と説明した。
最高裁がこの問題を審議している間に、消費者団体を含む多数の組織や個人がファイル交換に関する政策案を提出した。
最高裁は3月29日に、著作権侵害に関するファイル交換ソフトウェア企業の法的責任について重点的に審理を行ない、6月に判決を下す予定だ。
これまでレコード会社、映画会社、作詞/作曲家に加え、米政府までが、著作権侵害行為の結果、同業界で「支配的」シェアを獲得しているPtoPソフト企業は、その侵害行為について法的責任を負うべきだと主張してきた。
全米音楽出版社協会(National Music Publishers Association:NMPA)のCEO、David Israeliteは22日、同協会の最終文書を裁判所に提出した後に発表した声明の中で、「(PtoPソフトウェア企業の)GroksterとStreamCastは革新者ではない」と述べ、さらに次のように続けた。「両社は他者が開発した技術を盗用し、著作権侵害行為から利益を上げるために、それを違法な目的で使用した」
GroksterとStreamCastは、Intelなどのハイテク企業と共に、両社が開発したPtoPソフトは実際上、著作権侵害に当たらない使い方も可能であり、よって、それらのソフトの違法使用について自社に法的責任を問うべきではない、と主張している。両社のこの主張は、過去二度の下級審では認められていた。
Cooperによると、最高裁がいかなる判決を下そうと、この問題が再び米議会で議論されることはほぼ間違いないという。また、今回の消費者団体の行動は、エンターテインメント企業のロビー活動に対抗するために、大勢の人々を動員する草の根運動の第一段階だという。
「企業各社の政治力を拮抗させることに、一般大衆が関心を持たなくてはならない。われわれは、このキャンペーンが一役買って、現在技術通と法律通の世界で行き詰まっているこの議論がそこから抜け出せるようになることを期待している」(Cooper)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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