Intel主催のデベロッパーカンファレンスがまもなく始まるが、このイベントでは「デュアルコアプロセッサとは具体的にどんなものか」が大きな争点の1つとなりそうだ。
Intelは米国時間1日から3日間にわたり、サンフランシスコでIntel Developer Forumを開催する。同社はこのなかで数多くのプロセッサについて詳細を明らかにすることになっている。また同カンファレンスでは、同社が今年サーバ/ノートPC/デスクトップ向けにそれぞれ発売する、プロセッサコアを2つ搭載するチップについての説明も行われる。プロセッサに含まれるコアの数が増えれば、コンピュータは同時に複数のアプリケーションを実行したり、タスクの完了までに要する時間を短縮したりできるようになる。
しかし、「デュアルコアプロセッサ」の定義は広範で、たとえば1つのチップ上で2つのプロセッサコアが各種のリソースを共有するものから、機能的/物理的に完全に独立した2つのコアが同一のパッケージに収められたものまで実に様々だ。
IntelのデュアルコアItaniumチップ「Montecito」(開発コード名)では、2つのコアはそれぞれ専用のメモリキャッシュを持つため、迅速なデータアクセスが可能である。しかし、この2つのコアは、他のパーツとデータをやり取りするためのバスや、プロセッサの消費電力を制御するためのFoxton(開発コード名)技術など、いくつかのリソースを共有するものになる。
これに対し、デスクトップ向けの「Smithfield」はどちらかというと集合住宅に似ている。同社の計画に詳しい情報筋の話によると、Smithfieldでは2つのコアが同じシリコン上に存在するが、それらは概して個別に機能するという。Intelはごく最近まで、Smithfieldチップの構造に関して、1つのパッケージの中に2つのシリコンを組み込むことを検討していたと、この情報筋は述べている。なお、同チップのクロック周波数は3〜3.2GHz程度になると見られている。
アナリストらは、Smithfieldに搭載される2つのコアが比較的独立して機能することはが、おそらくIntelにとっては好都合だと見ている。同社が、デスクトップ向けデュアルコアチップの商用リリースを当初の2006年から2005年第2四半期に前倒しできたのも、これが1つの要因といえそうだ。なお、Intelと競合するAdvanced Micro Devices(AMD)も、Intelによる発表の数カ月後に、同社初のデスクトップ用デュアルコアプロセッサを発売する予定になっている。
一般ユーザーは、高度に統合されたデュアルコアプロセッサと、単に同一パッケージ内に同居している2つのチップとの、性能の違いを体験することはないだろう。それにも関わらず、2つのコアがあまり統合されていないことは、デュアルコアプロセッサの開発に関して、IntlとAMDのどうちらが先に進んでいるかをめぐる論争に再び火をつけることになる。AMDはここ数年で、64ビット機能拡張や、より高速な入出力リンクといった構想を先に打ち出し、Intelを慣れない追随者の立場に置いやってきた。
AMDのチップにもIntelのMontecitoと同様に専用のキャッシュが搭載されるが、メモリコントローラなどは2つのコアが共有するかたちをとる。
「統合に関してはAMDが先を行っている」と、マイクロプロセッサ業界向けのニューズレターMicroprocessor Reportの編集長、Kevin Krewellは述べている。ただし、AMDがデスクトップ向けチップを発売する頃には、IntelがノートPC向けの統合型デュアルコアチップと、Preslerと呼ばれるデスクトップ向けの新型デュアルコアチップを発売しているだろう。
Intelは、2つの異なるシリコン片からなるデュアルコアのSmithfieldを発売するに当たり、売り込みに苦慮するだろうとKrewellは付け加えた。
Intelや各ハードメーカーでは、プロセッサごとにライセンス料が必要となる従来の課金モデルが障害となって、マルチコア製品の販売が伸び悩むのではないかと懸念している。たとえばOracleは、デュアルコアチップは2つのプロセッサに相当する考えている。だが、これではユーザーがデュアルコアシステム上で動作するソフトウェアを購入するために、より多くの負担を強いられることになる。一方、Microsoftのライセンシング条件では、デュアルコアチップは1つのプロセッサとみなされるという。
Intelのある関係者は、Smithfieldに関する具体的なコメントは避けたが、同社が数多くの設計技術を駆使し、デュアルコアチップを様々な市場に提供していく計画だとした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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