マルチコアチップへの傾斜を強めるインテル

Michael Kanellos(CNET News.com)2004年12月21日 13時39分

 Intelは来年、2つのプロセッサコアを持つチップ製品をリリースする計画だ。しかし、これはほんの始まりにすぎない。

 同社は、今後数年間に自社製チップの性能を向上させる方法として、複数のプロセッサコア(マイクロプロセッサの演算を行う部分)利用というコンセプトを活用しようとしている。

 これにより、すでに計画が発表されているデュアルコアチップに加え、4つもしくは8つのコアを持つチップもいずれ登場することになりそうだ。また、IntelのSteve Smith(デスクトッププラットフォームグループ、パイスプレジデント)によると、同社の研究部門では、比較的繰り返しの多い計算を大量に行うサーバやスーパーコンピュータ向けに、数百ものコアを持つチップの実現可能性も検証しているところだという。

 マルチコアへのフォーカスは、ムーアの法則と関係がある。チップ上のトランジスタの数は2年毎に倍増するという同法則に従い、これまではトランジスタを追加して、それをデータに迅速にアクセスするためのメモリのプールであるキャッシュのサイズ増加のために使ったり、1クロックで2つ以上のタスクを処理させる命令レベルの並行処理のような他の性能強化に利用することが可能だった。

 しかし、Intelは現在、追加のトランジスタを利用して新たにコアをつくり、チップの性能を向上させようとしている。同社によると、このやり方であればチップの消費電力を大幅に増やすことなく性能を向上できるという。消費電力の問題は、IntelがPentium 4の高速シングルコア後継チップにあたる「Tejas」の開発を中止し、デュアルコア戦略にシフトした理由の1つだった。Intelは以前、プロセッサのクロック速度を迅速に引き上げるというトレンドが続いたために、結果として消費電力が実際的なレベルを上回ってしまったと述べている。

 「デュアルコアチップに注力しているのは、こちらのほうがトランジスタを効率的に利用できると考えているからだ」(Smith)

 デュアルコアチップが発揮する違いを消費者が実感できる分野は、2つ以上のアプリケーションを実行させている時だとSmithは言う。複数のコアがあれば、ユーザーはデジタルビデオカメラで撮影した動画を編集したり、ビデオ録画機能を使ってテレビ番組を録画しながら、ウェブサーフィンをしたり、電子メールを送信するなど、他のタスクも実行できるという。

 Intelが最初に出す予定のデスクトップ用デュアルコアチップ「Smithfield 」(開発コード名)は、2005年に登場する。また初のノートPC用デュアルコアチップ「Yonah」は、2005年後半に出荷開始となり、2006年まではあまり大量には採用されそうにない。さらに、Itaniumのデュアルコア版である「Montecito」も2005年に、一方サーバ向けのデュアルコアXeonチップ「Tulsa」は2006年第1四半期に登場すると見られている。

 SmithfieldにはActive Management TechnologyというPCのリモート管理用の機能が組み合わされることになる。これと使うことで、たとえば特定のPCからウイルスが送信されていることがわかった場合に、そのPCを停止させることが可能になる。「ウイルスの感染拡大を食い止めようとした場合、ものの数分でマシンをシャットダウンしたいと考えるだろう」とIntelフェローのJustin Rattnerは述べている。

 2005年中には、デュアルコアチップの出荷数はそれほど多くはならないものの、2006年の終わりまでにはIntelのつくるノートPCおよびデスクトップ向けチップのおよそ70%が、またサーバ用チップでは85%がそれぞれデュアルコアチップになると見られている。

 Smithによると、Smithfieldは追加のコアの文だけサイズが大きく、そのために製造コストも余計にかかるが、時間とともにサイズも小さくなっていくという。プロセッサの設計においては、これはよくあるパターンだ。また、Smithfieldは現行の90ナノメートル製造プロセスでつくられることになる。いっぽう翌年に投入予定のYonahは65ナノメートルプロセスが使われる。

 Smithは、現在はまったく構造が異なるノートPC用チップとデスクトップ向けチップが、いずれはよく似たものになるという点も認めている。

 「今後この2つは時間の経過とともにますます似た機能や性能を持つようになるだろう。そのためソフトウェア開発では一貫性が保てることになる」(Smith)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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